ダイムラー、使用済み電池で大型蓄電装置を構築 〜 1000台分で1300万ワット時

 ダイムラー(Daimler)は、電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車の使用済みリチウムイオン電池を再使用して、商業用の大型蓄電システムを構築する計画だ。

 コンピュータワールドによると、その蓄電システムの第1号は、1000台の電気自動車から回収した電池を用いることで、1300万ワット時の容量になる見込み。2016年初めにドイツのリューネンで送電網に接続される見通しだ。

 「現時点では、使用済み電池を使ったシステムは、商業規模のみを計画している。メガワット級かそれ以上を意味する」と、メルセデスベンツ・カーズの広報担当者は述べ、世帯向けには進出しない方針を示した。

 同事業には、ダイムラーのほか、電池と送電網の統合を手がけるモビリティー・ハウス(The Mobility House)、エネルギー・サービスを提供するGETEC、およ再生利用を手がけるレモンディス(REMONDIS)が参加している。

 自動車の使用済み電池に新たな再使用方法が生まれれば、新しい収入源を確保でき、電気自動車のコスト低下につながる。

 ダイムラーは、車種にもよるが最大10年間にわたって効率80%以上の電池寿命を保証している。保証水準を満たさなくなった電池でも、利用価値がないわけではない。固定式蓄電装置の一部として使用するのであれば、多少の電力喪失はあまり重要でないためだ。ダイムラーでは、自動車で使えなくなったあとでも最低10年は固定式蓄電として使えると説明している。

 送電網に接続された蓄電装置は、電力使用量のピーク時間帯に発電需要を減らすのに役立つ。

 電気自動車製造最大手のテスラ(Tesla)は、家庭用と商業用の蓄電システムをさきに発表し、すでに販売している。また、太陽光発電業界の企業も、リチウムイオン電池を使った家庭用蓄電システムの販売を積極化させている。

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