アップル製品利用者への脅威通知、「前例のない」規模に 〜 「傭兵型スパイウェア」の標的になっていると警告

テッククランチ誌によると、アップル製品の利用者らに対し、スパイウェア攻撃の標的になった可能性を知らせる脅威通知が、前例のない規模で発信された。同件を調査しているセキュリティー専門家たちへの取材によって判明した。

▽110ヵ国にまたがる最大規模の通知件数

アップル(Apple)は8月14日、110ヵ国の顧客らに対し、強力なスパイウェアにねらわれている、と警鐘を鳴らす通知を一斉送付した、と専門家らは8月17日に取材に話した。被害者相談窓口である人権保護団体の一つによると、今回の通知件数はこれまでで最大規模とみられる。

同社製品利用者に配信された注意喚起通知が110ヵ国にのぼるというのは前例のない規模だ。電子端末利用者らに注意喚起が通知されることは全メーカーや全製品を含めれば、それほどめずらしいことではない。しかし、今回の通知は、セキュリティー専門家たちのあいだで議題に上がり、ソーシャル・メディア上で多数投稿された点においても特異だ。

▽相談件数、通常より3~4割多い

アップルは、政府が用いる「傭兵型スパイウェア(mercenary spyware)」にねらわれた利用者らに対し、注意喚起通知をこれまでも断続的に送ってきた。過去数年間に通知を受けた利用者は150ヵ国以上に散らばる。傭兵型スパイウェアは、国家の軍部や諜報機関が運用するスパイウェアで、一般的には国策サイバー攻撃集団が運用する。今回の件では、容疑者については報じられていない。

被害者相談窓口を運営するアクセス・ナウ(Access Now)の調査責任者モハメド・アル・マスカティ氏は、支援を求める相談が8月15日以降に過去最多を記録したと明らかにした。その件数は、通常の一斉通知後にくらべて3~4割多いという。サイバーセキュリティー会社アイヴェリファイ(iVerify)も脅威通知の急増を確認したと報告した。

ソーシャル・メディア上でも、同通知を受けたと報告する投稿が15日以降に急増した。対ロシア戦争に従軍するウクライナ軍兵士の一人は、最初は詐欺の手口かと疑ったが、アップルに確認したとろ本物だと判明したと明かした。

▽アップルの通知方式変更も一因か

政府によるスパイウェア攻撃を15年以上にわたって調査してきた人権団体シチズン・ラブ(Citizen Lab)のジョン・スコット・レイルトン上席研究員は、公表された投稿の規模と地域の広がりについて「前例がない」と話し、「何か大きな事態が進行している兆候だ」という見方を示した。

同氏とアル・マスカティ氏は、件数増加の一因としてアップルの新たな通知方式も挙げる。同社はことしから、ロック画面や設定アプリケーション、登録メール、ウェブサイト・ログイン時にも通知するようになった。

アップルは取材に応じなかった。

▽「ロックダウン・モード」の有効化を推奨

セキュリティー専門家らはアップル製品利用者らに対し、通知を真剣に受け止め、ハッキング防止機能「ロックダウン・モード」の有効化を勧めている。アップルによると、同モード有効時のハッキング例はいまだ確認されていない。

アイフォーンの場合、ロックダウン・モードを有効化するには、1)iOSの「設定」を開く、2)「プライバシーとセキュリティー」をタップ、3)スクロール・ダウンして「ロックダウン・モード」をタップ、4)「ロックダウン・モードをオンにする」をタップ、5)表示される説明を確認し、「ロックダウン・モードをオンにする」をもう再度タップ、6)パスコードを求められたら入力、7)「オンにして再起動」をタップ 、8)端末を再起動、の手順で完了できる。

攻撃されると、通話やテキスト・メッセージ内容の窃取、位置情報の追跡、カメラとマイクロフォンの遠隔操作、保存データ(連絡先や写真、認証語など)への不正アクセス、ゼロ・クリック感染といった深刻な被害を受ける。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
STS Career

注目の記事

  1. ウェルビーイングの最新トレンド  「ウェルビーイング(well-being)」とは...
  2. 2026年6月1日

    AI時代の仕事術2026
    2026年、AIは「使う」から「任せる」へ 2020年以降、AIの進化は「生成能力...
  3. 植民地から合衆国建国へ 18世紀半ば、現在のアメリカ東海岸にはイギリスの支配下にある...
  4. 2025年12月1日

    就職&雇用ガイド2025
    監修 STS Career https://usfl.com/author/stscar...
  5. 2025年10月8日

    美しく生きる
    菊の花 ノートルダム清心学園元理事長である渡辺和子さんの言葉に、「どんな場所でも、美しく生...
  6. 2025年10月6日

    Japanese Sake
    日本の「伝統的酒造り」とは 2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日...
  7. アメリカの医療・保険制度 アメリカの医療・保険制度は日本と大きく異なり、制度...
  8. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
ページ上部へ戻る