Japanese Sake

2024年にユネスコ無形文化遺産に登録され、今まで以上に世界中から注目が高まっている日本の酒造り。なかでも日本酒に焦点を当て、日本特有の酒造りや味わいの魅力を紹介する。

日本の「伝統的酒造り」とは

2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日本の「伝統的酒造り」が世界無形文化遺産に登録された。英語での登録名称は、 “Traditional knowledge and skills of sake-making with koji mold in Japan”。日本で連綿と受け継がれてきた日本酒、焼酎、泡盛などに共通する酒造りの技術を指している。日本では、杜氏や蔵人と呼ばれる酒造りの職人たちが、麹菌を用いて各地の気候風土に即した独自の技術を築き上げてきた。今回の世界無形文化遺産の登録では、「麹菌が澱粉を糖に変える」という日本独自の発酵プロセスが高く評価された。 

評価された点は主に以下の二つとなる。 

1.職人による匠の技 
酒造りの成否は、麹の育成や発酵過程における温度や湿度管理の繊細さに大きく左右される。杜氏と呼ばれる酒造りの責任者と、そのもとで働く蔵人と呼ばれる職人は、長年の経験を通じて培った勘と知識を徒弟制度的に受け継ぎ、今も各地で技を磨き続けている。これらの技術は蔵ごとに伝承されるだけでなく、地域組合による研修や全国組織の活動を通じて体系的に継承されている。さらに、政府による技術保存、資格制度、新酒鑑評会、補助金、酵母研究といった制度的支援が継承環境を支えている。 

2.社会的・文化的役割 
日本の酒は古来より神への供え物とされ、祭礼や婚礼、通過儀礼など地域社会の節目に欠かせない存在とされている。農家が原料を供給し、地域の人々が酒を分かち合うことで、酒造りは単なる産業を超え、共同体の絆を強める文化的基盤として機能してきた。また、かつては男性中心の職能だったが、現代では性別を問わず従事できる環境が広がっており、持続可能性の観点からも評価されている。 

  

伝統的酒造りの技術

500年以上前に原型が確立した「伝統的酒造り」の技術は、麹の使用という共通の特色を持ちながら、日本各地で気候風土に応じて発展し、日本酒、焼酎、泡盛、みりんなどの製造に受け継がれてきた。 

一、原料の処理 
水分を調整し、蒸す工程を経て、酒造りに適した状態へと原料を整える。 

二、麹造り 
麹造りは酒の質を決める最重要工程。麹の状態を見極めながら、手作業で生育を管理する。 

三、発酵の管理 
もろみの状態を観察しながら、世界的にも珍しい並行複発酵によって多様な味わいや香りを生み出す。 

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