中国企業の米社買収に待った〜大統領、安全保障上危険と

 中国の投資ファンド福建芯片投資基金(FGC)が進めていた独半導体製造装置大手アイクストロンの米国部門買収に、オバマ大統領が待ったをかけた。買収対象に軍事利用が可能な技術が含まれ、安全保障上の脅威となるため。
 
 ロイター通信によると、大統領は軍の機材などに使われている窒化ガリウムの生産に関する機密情報が中国に渡ることを懸念したもよう。安全保障を理由に大統領令で企業買収が禁じられることは珍しいが、オバマ大統領は2012年にも、オレゴン州の海軍施設に近すぎることを理由に、中国のサニー・グループ傘下ロールスに風力発電事業の持ち株の売却を命じている。
 
 アイクストロンの広報担当者は「大統領令が発せられたならFGCとの契約は破談になる。買収がなくなれば収支を合わせるための行動をしなければならず、人員削減もあり得る」と話した。
 
 財務省によると、今回の買収阻止は対米外国投資委員会(CFIUS)の判断を受けた措置。「この取り引きによってもたらされる国家安全保障上のリスクは、半導体製造機器や技術の生産者で革新者であるアイクストロンの知験を使った技術の軍事的利用などに関係している」と説明している。
 
 窒化ガリウムは発光ダイオード(LED)、レーダー、アンテナ、レーザーなどに使われる化合物半導体。アイクストロンの窒化ガリウム製造技術はかつて米軍用機器大手ノースロップ・グラマンに販売された。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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