日本で住む家を探す(4)~保証人がいなくても借りられる家「UR賃貸住宅」~

文/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)

日本へ本帰国する際に準備しておかなければならないことの一つに、日本での住居探しがあります。生活の拠点になる場所ですから必ず確保しなければなりません。既に購入したり相続によって持ち家がある人、賃貸住宅を借りる予定の人、親族や知人の家に一時的に住ませてもらう人、それぞれだと思います。

当コラムでは2018年に「日本で住む家を探す」というテーマで下記の通り連載しています。ご興味あれば合わせてお読みください。

日本に持ち家や実家がなく、これから賃貸物件を借りる人に気になるのが保証人です。賃貸契約時に必要となる保証人は、入居者が家賃の支払いを怠った場合に代わりに支払う「連帯保証(債務保証)」の意味合いを持つもので、もちろん日本の居住者であることが必要です。したがい保証人を依頼する際、相手が親族にせよ知人にせよ信頼できる関係でないと引き受けてくれないし、またこちらも頼みづらいものです。しかし長年の海外暮らしで親族、知人とのつながりが希薄になってしまった人にとっては、依頼できる人がいないのが悩みではないでしょうか?

そうした場合の対応策としては、①民間の保証会社を利用する、②保証人が不要の公営住宅を利用する、という選択肢があります。今回は②の公営住宅の利用について紹介します。上記の過去コラムのうち「日本で住む家を探す(3)」では公営住宅の中でもUR賃貸住宅を取り上げていますが、今回はこのUR住宅の最新情報をご案内します。

1.UR賃貸住宅とは

UR賃貸住宅は、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が建物を管理し、賃貸を行っています。民間の賃貸住宅と比較すると下記の特徴があります。
①賃貸契約時の「礼金」がない
②仲介手数料がない
③更新料がない
④保証人が必要ない

昭和30(1955)年に設立された旧日本住宅公団が、翌昭和31年に最初の団地を建設以来、約70年にわたり時代の要請に対応した賃貸住宅の供給・管理を担ってきました。「時代の要請」とある通り高度成長時代の昭和30年代、40年代には多くの住宅(主に団地)を供給しています。その後昭和50年代に入り人口増加の鈍化、およびそれ以降の人口減少もあり新規供給戸数は減少していますが、ほぼ一定の空き家戸数を維持しながら新たな入居希望者へ住居を提供しています。

2.最近の特徴

保有する多くの住居が昭和30~40年代に建設された団地ですが、築年数が40年、50年と経過し老朽化してきたこと、一方で国民の所得の向上やライフスタイル変化に対応するためデザインや快適性(広さ、機能)の良いマンションへ建て替えが進められています。

また以前は経済成長と人口増加に対応するため新規住居の建設・供給を優先的に取り組んでいましたが、最近は「UR賃貸住宅を活用したミクストコミュニティの形成」ということで、より住みやすい環境としての取り組みに力を入れています。

具体的には、
・UR子育てサポーターの配置による子育てしやすい住環境の整備
・子育て世帯や高齢者世帯を応援する便利な制度
・地域の事情を踏まえた住宅セーフティネットの充実
などがあげられます。※1

3.海外からの本帰国された高齢者であっても借りやすい条件

1) 保証人が不要

上記の特長でも取り上げましたが、UR賃貸住宅では、契約時の保証人は必要ありません。入居時の収入要件(後述)設けることで(連帯)保証人を必要としていません。ただし家賃保証の観点からは不要ですが、緊急時(健康上の問題、死亡時など)の対応として国内連絡先(親族、知人など)の登録が2名必要となります。

2) 国籍不問

居住者の国籍、年齢を問いません。したがい外国籍を取得した高齢者の方でも入居することができます。

3)十分な定期収入がなくても借りられる

申込み時の収入要件として「家賃額の4倍以上の平均月収があること」とあります。しかしリタイヤした人など、資産(貯蓄)はそれなりにあるのにも関わらず年金のみの収入で収入要件を満たしていないケースがあります。そういう場合でも、申込時に一括金(家賃の15か月分)を前納することで申込可能となります。※2

4.注意点

一方借りやすい反面、あらかじめ知っておくべき注意点もあります。

1) UR賃貸住宅の申し込み時には国内居住者(住民票があること)でなければなりません。したがい帰国者については、一旦仮の住所で構わないので住民登録を行い、その上での申し込みが必要となります。 

2) 首都圏を中心に全国に多数の住宅がありますが、空室率は決して高くありません。一部の高額物件を除き、なかなか空室が出ないといったこともあります。一方民間の賃貸契約のように、たとえ入居しなくても家賃の支払いを条件に賃貸契約を開始することはできませんので(入居可能日から1か月以内の入居が必要)、帰国者の場合は帰国時期に運よく空室が見つかるかどうかわかりません。したがい上記1)の点も含め、実際は帰国後に仮住まいで生活をはじめ、その間にUR住宅の空室を探すことが求められます。

3) 上記3の借りやすい条件でも取り上げましたが、国籍、年齢を問わないことから、外国人の入居者が増加しています。もちろんきちんとした入居時の審査があるので、不法滞在者などはいませんが、外国人の入居者が増えた地域では文化の違いなどから日本人(元日本人を含む)の感覚では多少違和感のある場面に出くわす可能性もあります。

いかがでしょうか?尚具体的な入居申し込み手続きについては、過去のコラム「日本で住む家を探す(3)」で紹介していますのでご参照下さい。

※1:こうしたUR都市機構の取り組みについては下記をご参照下さい。
https://www.ur-net.go.jp/chintai_portal/index.html
※2:家賃額に応じて、細かく金額がきめられています。(下記サイトを参照)
https://www.ur-net.go.jp/chintai/rent/requirements/

[本コラムの英訳版/English translated version of this Column]
http://www.life-mates.jp/Eng_Column11

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、相続診断士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、介護・葬儀・相続など日本在住の老親のサポート)を行う。

●豊富な実績に基づくていねいなサポートで
ひっきりなしに持ち込まれるお客様からの国際手続きに関する多種多様なご依頼、ご相談(お悩み)を断り切れず休日返上で対応しているうちに、気がつけば(年金、日本帰国といった当初の事業以外の)あらゆる分野のノウハウを備えたオールラウンドコンサルタントに。当社で対応できないケースでも、的確な解決方法や提携先の他分野専門家を紹介します。

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