人事管理で普及する大規模データ分析 〜 勤務状況の把握、採用、離職防止に
- 2015年4月10日
- ハイテク情報
企業の人事管理分野に大規模データ(big data)分析が普及しつつある。
アントレプレナー誌によると、米セキュリティー大手のSASが1200社以上を対象に2013年に行った調査では、社員数100人以上の企業6400社が、大規模データ分析を2018年までに導入するだろうと予想された。
また、タワーズ・ワトソン(Towers Watson )が1000社以上を対象に2014年に実施した調査では、人事関連技術への投資のなかでデータ分析は3大項目の一つに位置付けられた。人事管理業務におけるデータ分析の重要性は強まっており、その傾向は継続すると予想される。
大規模データ分析が人事管理業務にもたらす利点にはおもに下記4つが挙げられる。
1. 現状認識を深める
社員の業績関連データを分析することで、会社は社員の状況をより詳細に把握できるようになり、勤務意欲を高めるための参考情報として役立てることができる。
米小売チェーンのコンテイナー・ストアー(The Container Store)では、社員に身体装着型端末を配布し、店舗内での勤務状況を把握している。
店舗責任者らはそれによって、社員が同僚との意思疎通をどのように図っているかや、もっとも長い時間をどこでどのように過ごしているかといったデータを見ることができる。
2. 人材定着率の向上
さまざまの情報を分析することで、会社は社員の士気をあげたり下げたりする要因を特定でき、離職理由や定着(その会社で働き続けること)理由を理解できる。
社員の満足度調査や勤務査定、ソーシャル・メディアでの活動、退職時の面談で得た内容をデータとして活用することで、会社は社員の退職を予測できるようになる。
ゼロックスでは、大規模データ分析を導入した結果、コール・センターの離職件数(退職者数)を20%減らすことができた。
3. 研修効果の向上
会社が社員に提供する公式の研修から昼食時の啓発催事まで、社員教育は企業にとって決して安価ではない。
能力開発協会(Association for Talent Development)が340社を対象に行った2014年の調査では、社員一人あたりの研修および能力開発費は1208ドルとはじき出された。
そういった研修の効果を測定して分析することによって、企業は賢明な投資をできるようになる。
4. 採用活動の向上
人材採用時に分析的および戦略的な手法を活用することによって、的確な意思決定を導き出せる可能性が高まる。
キャリアビルダーが2013年に実施した調査では、適材でない社員を採用したことによってかかるコストを5万ドル以上と見積もった企業が27%に上った。
従来の採用活動では、似たような履歴書のなかから「直感」を頼りに選考することが多々ある。しかし、ソーシャル・メディアに書かれてある紹介内容やオンラインの履歴書データベース、職歴、応募歴を分析すれば、候補者について詳しく知ることができ、雇うべきではない人材の雇用を避けられる。
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