「合成聴衆」がコンサルティング業界が脅かす 〜 市場調査や消費者調査を人工知能で仮想化

人工知能技術業界とコンサルティング業界のあいだで静かなる抗争が勃発している。ベンチャービート誌によると、マッキンゼー(Mckinsey)やニールセン(Nielsen)、ガートナー(Gartner)、ピュブリシス(Publicis)といったコンサルティング大手らはこれまで、人間による専門的分析を顧客会社らに提供することで、高いコンサルティング料金を稼いできた。しかし、コンサルティング・サービス会社らの地位は現在、「合成聴衆(Synthetic Audiences)」(または仮想聴衆)という技術によって脅かされている。

合成聴衆とは、特定の属性を学習させた人工知能に、実在または架空の人物像を模擬化させ、仮想的な調査を実施して回答を得るための対象群集およびその手法を指す。

消費者調査やそのほか特定層の人々を対象に実施された調査はこれまで、4ヵ月の聞き取りと2ヵ月の分析を要し、数万ドルの費用がかかっていた。それが合成聴衆の活用によって2分と数ドルで完了する。エレクトリック・ツイン(Electric Twin、ロサンジェルス拠点)やアール(Aaru、英国バーミンガム拠点)といった新興企業らに加え、電通といった老舗大手も合成聴衆による市場調査や消費者調査に参入している。

スタンフォード大学の研究班が報告した2024年の研究結果によると、人工知能は平均85%の精度で人間の聞き取り調査回答を模倣でき、特定の社会的聞き取り調査では90%以上の精度という結果が得られた。また、年齢や居住地、性別といった単純な属性情報だけでも、人間による回答を72%の精度で模倣できたという。

世界最大の広告代理店であるWPP(ロンドン拠点)は、合成聴衆技術の独自ツールの開発とともに新興企業との提携を加速させている。

ただ、合成聴衆技術には障壁もある。最大の壁は、精度とデータ流出の懸念だ。フォーチュン500社に名を連ねる大企業の多くは、人工知能が社内データを学習に利用することを恐れている。専門家らはそれに対し、マイクロソフト・チームス(Microsoft Teams)といったクラウド・サービス利用時と同様の契約上の保護があることを指摘する。

合成聴衆技術が市場分析専門家や戦略家たちの洞察を完全に代替することはないにせよ、コンサルティングや市場調査の在り方を根本から変えることは必至と言える。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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