ウォルマートがアマゾンに勝てない理由 〜受注&配送システムが弱点

 小売チェーン業界世界最大手のウォルマート・ストアーズは、オンライン小売市場においてアマゾン(Amazon)に追いつこうと、これまで電子商取引事業の拡充に注力してきたが、いまだアマゾンから大きく水を空けられている。

 ウォルマートは10年前にオンライン市場に参入して以来、アマゾンに対抗できる有力オンライン小売業者になることを目指してきた。しかし、インターネット・リテイラー誌の調べによると、2012年におけるオンライン売上高は、アマゾンの610億ドルに対しウォルマートは77億ドルにとどまっている。オンライン小売業界でウォルマートは大手の一社に数えられるものの、アマゾンの勢力には遠くおよばないのが実情だ。

 その要因の一つは、受注処理システムと配送システムにある。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンは、米国内に40ヵ所以上の倉庫を持ち、ロボットを活用して受注を極めて効率的にさばいているが、ウォルマートでは、「オンライン消費者に対し商品を経済的に配達する方法をいまだ見いだせていない」(関係者)状態だ。

 米国のオンライン小売市場は2012年に前年比16%増の2243億ドルを記録し、消費者用品売り上げ全体の約5%を占めるまで成長。調査会社フォレスター・リサーチによると、5%という数字は2017年までに2倍に拡大する見込み。

 ウォルマートの元幹部によると、同社のオンライン小売部門が直面する課題の一つは、カリフォルニアに常駐するウォルマート・ドット・コムで働く電子商取引技術者らが売り上げを優先するのに対し、アーカンソー本社の受注処理(受注から商品配達までの全課程)担当者は利益を重視するという違いから、オンライン販売向け商品流通を最適化するための投資が遅れたことだと指摘される。

 同社では、2013年の総売上高予想額4690億ドルの約2%に相当する100億ドルをオンライン部門で計上する見通しを立てている。同社は、オンライン注文増に対応するために各店舗に流通スペースを設け、外部の倉庫業者の協力も得て、中核的流通設備を整備するまで急場をしのぐ計画だ。

 そういったツギハギ対応策はコスト高を招くと予想される。ウォルマートのオンライン販売部門の配送コストは、商品1個あたり平均5〜7ドルとみられる。アマゾンの配送コストは1個あたり3〜4ドルと言われる。ウォルマート・ドット・コムの売れ筋商品が10ドル前後の下着類であることから、配送コスト高は同社にとって深刻な問題だ。

 ウォルマートではオンライン販売部門の効率化にすでに着手している。オンライン受注処理専門の倉庫を新たに建設し、また、各支店から商品を送る効率的手法も実験している。さらに、4000の店舗と158ヵ所の倉庫の在庫情報を社内で横断的に共有し、最も効率的な配送方法を導きだす配送網を構築し、配送コスト高を解消する作戦だ。

 ウォルマート・ドット・コムのジョール・アンダーソン代表によると、米人口の3分の2はウォルマート支店から5マイル以内に住んでおり、全米の店舗では商品が毎日補充されているため、各支店の活用を最適化すれば配送費を大幅に削減できる見込みだ。

 同社では今年、その考えを検証する店舗数を現在の35店から50店に拡大する予定。さらに、オンライン購入した商品を、購入者が指定した支店で受け取るためのロッカーも一部の支店で6月中に設置する。

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