FRB議長人事で場外戦過熱 議員ら介入、大統領は不快感

 【共同】来年1月末の任期到来で退任が見込まれる米連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長の後任に有力候補者を売り込もうと、与党の民主党議員やエコノミストを巻き込んだ場外戦が過熱している。FRBは金融危機時の対応やその後の景気回復の下支えで各方面から批判にさらされながらも、前例のない数々の金融政策手段を駆使することで常に最前線に立ってきた。難しい局面でFRBを率いてきたバーナンキ議長の後継人事はかつてない注目を集めており、指名権を持つオバマ大統領もお膝元の民主党議員らのあまりに露骨な介入に不快感を示しているという。

 バーナンキ議長自身が再任を望んでいないという観測は、昨年から広まっていた。ことし3月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、オバマ大統領と「(任期到来後のことについて)少しばかり話をした」と明らかにするとともに「自分だけが出口戦略を成し遂げられる人物だと思わない」と退任の意向を示唆した。その後、オバマ大統領は6月の公共放送(PBS)の番組で「(議長は)本人が望んだ以上に長期間在任している」と言及。米メディアは、ルー財務長官と少数のホワイトハウス高官が後任選びの作業に入ったと伝えた。

 ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は7月末に、ジャネット・イエレンFRB副議長とローレンス・サマーズ元財務長官の2人が最有力候補だと報じ、後任人事が一気に盛り上がった。ウォール街とつながりが深く民主党政権の政策決定に影響力を持つロバート・ルービン元財務長官や同党の一部議員がサマーズ氏を推していることが知れ渡ると、これにリベラル派議員が猛反発。オバマ大統領による人事指名の承認権限を持つ上院では、民主党と民主党に近い議員54人のうち3分の1程度が、イエレン氏を指名するよう大統領に促す書簡に署名した。

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