セールスフォース、身体装着型端末向け事業を強化 〜 開発キットを提供開始

 セールスフォース(Salesforce.com)は、スマートめがねやスマート腕時計といった身体装着型端末向け業務用アプリケーション開発の推進を目的に、クラウド基盤のアプリケーション開発ツールとソフトウェア「セールスフォース・ウェア(Salesforce Wear)」の提供を開始した。

 ウェア開発にあたってセールスフォースは、グーグル(Google)やサムスン電子(Samsung Electronics)、ペブル・テクノロジー(Pebble Technology)と協力した。

 企業市場における身体装着型端末の普及はこれまでのところ、プライバシー侵害懸念をはじめ、事業モデルがまだ確立されていないこと、そして端末用アプリケーションがないことが要因となって遅れている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ウェアは、そうした状況を打開し、企業における身体装着型端末普及を加速させる可能性がある、と業界専門家は指摘する。

 また、セールスフォースはウェアによって、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)やシスコ・システムズ(Cisco Systems)など、身体装着型端末関連事業に注目する企業に対し、市場競争を有利に進められる可能性がある。

 セールスフォースは主力事業の顧客関係管理(CRM)製品の普及に際し、既存のパッケージ・ソフトウェア(現場実装型ソフトウェア)市場に対抗してクラウド基盤アプリケーション・スイートを投入し、第三者ソフトウェア開発業者によるセールスフォース・クラウド生態系構築に成功したという経緯がある。

 セールスフォースはそれと同じ取り組み手法を法人向け身体装着型端末市場でも採用し、企業での必要性や需要に応えるアプリケーションとプラットフォームを提供すると同時に、第三者によるアプリケーション開発を支援する。

 ウェアでは、身体装着型端末向けの参照アプリケーションも提供する。その一つが報告ツールだ。たとえば、電話問い合わせ受付センター管理職が問い合わせ件数といったデータをスマート腕時計やそのほかの身体装着型端末からリアルタイムで把握できるようにする。

 アプリケーション開発事業者はウェアを使うことによって、アプリケーションの構築と市場投入、更新を加速できる、と業界専門家は分析する。

 調査会社IHSは、身体装着型端末の販売台数を2014年に約5000万台、2018年には1億8000万台に達するという見通しを示している。

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