アイフォーン6にサファイア・ガラス 〜 アップル、メサ工場で量産準備

 アップル(Apple)は、次期アイフォーン(iPhone)のスクリーンに、ガラスより頑丈な合成サファイア(サファイア・ガラス)を使うことが確実視されている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルが関係者の話として伝えたところによると、サファイア製スクリーンが搭載されるのは、2014年9月末に発売されると予想されるアイフォーン2機種のうち、画面が大きい高位機種とスマート腕時計となる見込みだ。

 サファイア溶鉱炉メーカーのGTアドバンスト・テクノロジーとアップルがアリゾナ州メサに共同で開設したサファイア・ガラス工場では8月からサファイア・ガラス製スクリーンの生産が始まっている。

 140万平方フィートもあるこの巨大工場は、アップルが2013年にソーラー・パネル・メーカーから1億1300万ドルで購入し、GTがリースしてアップル専用のサファイア工場として管理している。

 最先端の溶鉱炉を設置するために、アップルはGTに5億7800万ドルを前払いすることで合意している。アップルは、同工場関連だけで7億ドル以上を投じている。

 GTのトム・グティエレス最高経営責任者(CEO)によると、工場はほぼ完成し、大量生産に移行し始めているところ。2015年にはフル稼働する見通し。

 フランスの調査会社ヨール・ディベロップメントによると、新工場のフル稼働時生産量は、世界で約100社のメーカーが生産できる量の2倍に上る見通しで、サファイア・ガラスへの投資規模としては過去最高だ。

 合成サファイアは、地上で最も硬い鉱物の一つであるサファイアと同じ特性を持つ。ガラスのように簡単に割れたり傷が入ったりしないうえ、高温や化学的腐食にも強い。

 ただ、生産コストがかさむことから、これまでは航空機の窓ガラスといった極端に厳しい環境で使われるガラスや高級時計にしか使われていなかった。

 アイフォーンでは内蔵カメラのレンズにサファイア・ガラスがすでに使われている。サファイアの導入でスクリーンの破損が減れば、保証コストを節約できる可能性も期待される。

 スクリーン破損に関する保証を提供しているスクエアトレードによると、アイフォーン所有者の11%は、スクリーンにひびや割れが入ったまま使っているとみられる。

 サファイア製スクリーンの生産コストは最高16ドルに上ると見られ、現在、アイフォーンに使われているコーニング社の高強度ガラス「ゴリラ・ガラス」の約3ドルよりはるかに高い。

 バーンスタイン・リサーチによると、サファイアのコストが保証費用の節約分を上回る可能性が高い。

 アップルは、携帯端末向け64ビット・プロセッサーの開発や、指紋読み取り技術企業オーセンテックの買収で、アイフォーン事業関連で巨額を投じてきたが、アイフォーンの価格は据え置かれてきた。

 しかし、早ければ来月末に発売されるアイフォーン6では、値上げしなければ利益率が下がる可能性もある、と指摘される。

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