だれもが数分でレストランを開業できるようになる 〜 起業家のマーク・ロア氏、斬新な外食サービス事業を展開

著名な電子商取引起業家のマーク・ロア氏は先日、人工知能とロボットのプラットフォームを利用してだれもがレストランを数分で開業できるようになる、と話した。テッククランチ誌によると、同プラットフォームを提供する同氏の新興企業ワンダーは、斬新な事業モデルによって外食業界に革新をもたらしている。

▽ワンダー、次段階の人工知能とロボットを大々的に導入

ロア氏は5月6日、外食サービス新興企業ワンダー(Wonder、ニューヨー市拠点)の事業拠点群に次段階の人工知能とロボットを全面的に導入する壮大な計画を明らかにした。

その中核となるのは、ワンダー・クリエイト(Wonder Create)と呼ばれる構想だ。ワンダー・クリエイトは、利用者(起業家)らが人工知能を使って独自のレストラン事業案を数分で設計してレストラン・ブランドを立ち上げられるようにするものだ。

同氏は、これまでに120ヵ所の拠点を整備し、多くの仮想レストランの事業を各拠点に入れている。それらの拠点は、飲食空間と厨房を備えた約2500平方フィートの実店舗だ。同氏によると、その拠点数は2027年には400拠点に増える見通しだ。

▽仮想レストランの立ち上げを支援し、調理と販売を代行

ワンダーの事業は、一般的な外食サービスとは大きく異なる。同社が提供するのは、実店舗と調理設備、調理代行サービス、運営サービスだ。同社は今回、起業家のレストラン概念(ブランド)やメニュー構成の最終化を支援する生成人工知能と調理ロボットを土台とする仮想レストラン業プラットフォームを全拠点に展開する方針を打ち出した。

同氏の言う仮想レストランとは、同社のプラットフォームを使って外食サービスを始める人たちの商売(ブランドや料理)を指す。物理的店舗はワンダーの拠点だが、そのなかで調理されて売られるのは、同社のプラットフォームを使って起業した人たちの料理だ。

たとえば、外食サービス市場のインフルエンサーたちが自分の名声や知見をてこ利用して独自レストランを立ち上げたい場合、ワンダー・クリエイトを活用するだけで、自分のレストラン・ブランドとメニューを構築できる。店舗や厨房設備、従業員といったすべての必要資源はワンダーの拠点によって提供される。

▽従来システムからの劇的進化で対応力を大幅に拡充

ワンダーの既存拠点群にはロボットも人工知能も最初から導入されているが、ロア氏が今回打ち出した計画は下記三つの点において既存システムから大幅に進化したものだ。

1)単機能から多機能かつプログラム可能へ:同社は、1種類の料理しかつくれないロボットからプログラム可能型厨房に進化させ、一つの機械腕や自動調理器がソフトウェアの切り替えだけで多数の調理を実行できるようにする

2)補佐から主導へ:同社がこれまで使ってきた人工知能は、需要予想や在庫管理といった店舗運営補佐業務に重点が置かれていた。同社は今回、人工知能代理人(AI agent)を導入し、料理開発やブランディング、調理機器への指示出しまでを統合して実行する料理長兼店長の職務を人工知能に完全に委任する

3)専用拠点から汎用プラットフォームへ:これまでは、任意のレストラン・ブランドの料理をつくるには、当該ブランド専用の厨房設備が必要だった。同社は今回、人工知能とロボットによって対応料理の数を激増させた。多くの料理に使われる食材をあらかじめ用意し、人工知能がそれらを自在に組み合わせて膨大な数の種類の料理をつくれるようにすることで、設備を変えることなく一晩で1000件のレストラン・ブランドを同じ場所で稼働させることを可能にする

▽「プログラマブル・クッキング・プラットフォーム」

ワンダー・クリエイトの利用者は、自身の事業案をワンダー・クリエイトに伝えるだけで外食サービスを開業できる。不動産も調理設備も従業員も必要ない。

利用者のやるべきことは、ブランドの概念をワンダーの人工知能に入力し、ロゴやメニュー、調理法、価格設定、そのほかさまざまの詳細を人工知能と共同で微調整しながら最終確認することだけだ。あとは、ワンダーが店舗と厨房、そして従業員、ロボットを提供し、利用者(ブランドの主、事業主)の仮想レストランを運営する。

それを可能にするのは、ロア氏が「プログラマブル・クッキング・プラットフォーム」と呼ぶ拠点群(飲食空間、厨房、厨房設備)とサービスだ。同プラットフォームは、700種類の食材ライブラリーを備え、25種類の異なる料理分野に対応する。実店舗には、料理搬送機や機械腕、自動ソース機が装備される。

同プラットフォームはまた、インターネット上に公開されているソースのつくり方の約80%を再現できる「インフィニット・ソース・マシン」を2027年に導入する予定だ。

▽1店舗の調理能力を間700万食から2000万食に

ワンダーの各拠点では、ロボットの運用や管理、調理、接客、配達物の受け取り、そのほかさまざまの店舗運営や事務作業のために約12人の店員が常勤する。典型的な拠点は大衆的な路線の店構えで、10席〜20席ある。店内飲食のほか持ち帰りや出前にも対応する。

ワンダーの各拠点は、複数の仮想レストラン事業主たちのブランドを受け入れ、それらのブランドの料理や販売を代行する。

同社は最近、自動ボウル調理器メーカーのスパイス・ロボティクス(Spice Robotics)を買収したことで、1拠点あたり12人体制を維持したまま料理提供能力を現在の年間700万食から2000万食に引き上げる計画だ。

ワンダーは、2035年までに同一拠点で1000のレストラン・ブランドを運営できるようにする目標をかかげている。したがって、1ヵ所の拠点に1000軒の仮想レストランが同居できるということだ。

▽三つの収入源

ワンダーの経営陣によると、同社の収入モデルは、1)売り上げ分配、2)資本提携(共同出資)、3)裁定取り引きという三つを収入源とする。

売り上げ分配は、仮想レストラン・ブランドの売り上げを同社とブランド主が分け合う方式だ。たとえば、外食インフルエンサーは、自身のソーシャル・メディア・フォロワーを顧客基盤として集客し、ブランド構築の対価として売り上げの一部をワンダーから受け取るかたちだ。同社はその際、不動産や厨房設備、調理、配送、従業員といった事業基盤のコストを天引きする。

資本提携では、ワンダーが特定ブランドとの提携において共同経営者としてブランド価値という資産を共有する。

裁定取り引きは、同社がブランドを買収することを指す。同社は実際、顧客だった仮想レストラン・ブランドのブルー・リボン・フライド・チキンを650万ドルで買収した。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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