小売チェーン世界最大手のウォルマート(Walmart)は、クラウド間移行に必要なプログラミング調整の自動化を助けるクラウド開発向け管理ソフトウェア「ワンオプス(OneOps)」のコードの大部分をオープン・ソース化し無償提供する。
ウォルマートは、シリコン・バレーだけで2200人の技術者を雇用し、小売サイト向けクラウド基盤電子商取引技術の開発に力を入れている。
ニューヨーク・タイムズによると、同社は、技術の内製化を進めることを4年前に決定し、その一環としてクラウド・データ・センターを構築、オープンスタック(OpenStack)に代表されるオープン・ソース・ツールを基盤とするソフトウェアを開発または買収してきた。
同時に、季節的な需要急増への対応のために、マイクロソフト(Microsoft)やラックスペイス(Rackspace)が提供するクラウド・サービスの活用を積極化させてきた。
ウォルマートのジェレミー・キング世界電子商取引担当最高技術責任者(CTO)によると、年末商戦期がある第4四半期におけるウォルマートのウェブ・トラフィックは、普段の10倍に増えることもある。
そんななか、ウォルマートにとっての優先事項は、異なるクラウド環境間で開発者たちを迅速かつ簡単に行き来させることだった。2013年には新興企業のワンオプスを買収し、その技術改良に人材と資金を投入してきた。
調査会社ガートナーの業界専門家によると、アマゾン(Amazon)やマイクロソフト、グーグル(Google)のような大手のクラウド技術は、通信や暗号化、管理技術面で違いがある。
ワンオプスのオープン・ソース化は、技術的な違いからクラウド事業者間の移行を困難にする、いわゆる「クラウド・ロックイン(cloud lock-in)」問題を克服し、クラウド事業者間の競争を刺激するのが目的だ。
それによって、クラウド利用企業がクラウド・サービスをより自由に選択できるようになる可能性がある、とキングCTOは話している。
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