ASEAN国防相会議決裂 南シナ海で宣言不採択 

  • 2015年11月4日

 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中などの計18カ国が参加するASEAN拡大国防相会議が4日、マレーシアの首都クアラルンプール近郊で開かれた。予定されていた共同宣言は南シナ海問題をめぐる文言の調整が難航したため採択できず、同会議は事実上決裂した。経済力を背景にASEAN各国間の分断を図る中国の攻勢に米国や各国が押し切られた格好。カーター米国防長官は会議終了後、マレーシア沖の南シナ海上で5日に米原子力空母を視察する計画を明らかにした。

 米軍は10月、中国が南シナ海で造成した人工島周辺に艦船を派遣。「航行の自由」の原則を主張する米国と、南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張する中国が互いに一歩も譲らなかった。中国への配慮を優先させ、南シナ海問題で足並みが乱れて結束できないASEANの現状があらためて浮き彫りとなった。

 カーター氏は終了後の記者会見で、中国の習近平国家主席が9月の訪米時に南シナ海での軍事拠点化を否定したことを評価しつつも「発言には責任を持たなければならない」と強調。昨年来の「大規模な埋め立てや軍事拠点化が新たな状況を生み出した。多くの国の懸念となっている」とし、中国に自制を求めた。(共同)

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