オリジナルの若い頃を描く映画「Star Trek」シリーズの最新作「Star Trek Beyond」は、二つの不幸が重なった作品となった。製作中にスポック役でお馴染みのレナード・ニモイが持病の悪化で83歳でこの世を去ったのに続き、映画の公開間近にチェコフ役のアントン・イェルチンが不慮の事故で27歳で亡くなったのだ。
記者会見で、カーク船長に扮したクリス・パインは、アントンとの思い出をこう語った。「彼はいろいろなことに挑戦する人だった。アントンに初めて会ったのは彼が17歳くらいの時で、ぼくの控え室で一緒にギターを弾いた。とても上手だったよ。でも彼は『もう行かなきゃ』って言うんだ。理由は、難解なロシア語の小説の英語翻訳の続きをしなきゃいけないのとフランスの哲学者が書いた物理学の本を読みたいからで、それらは本作の撮影時でもまだがんばっていたようだったよ。音楽や写真の企画もあって、この夏には映画監督に初挑戦するとも言っていた。彼はとにかく人生にとても興味を持っていた人物だったよ」。筆者もアントンには何度か取材したことがあったが、音楽好きの好青年という印象で、昨年春には、カラオケでの曲目について盛り上がった。あれが最後のインタビューになるとは……。
本作は、コメディー俳優兼脚本家で、スコッティ役としても出演するサイモン・ペグが共同で脚本を担当しただけあり、そこかしこにユーモアが散りばめられ、新シリーズの中で一番オリジナルに近い雰囲気が漂っていた。
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