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仕掛け人に聞く
日本の食ニューウェーブ
- 2016年11月1日
- 2016年11月号掲載
手作り豆腐
豆腐を新たなタンパク源の選択肢に
独自のロングライフ製法により、保存料、防腐剤不使用でありながら長期保存がきく豆腐として米国で発売され、1980年代、業界に革命をもたらしたとも言えるMori-Nuのテトラパック入りの豆腐。現在はMori-Nuでセールスマネージャーを務める頼匠さんも「20年ほど前に住んでいたフロリダでは、ほとんど日本人が住んでいない地域でも豆腐が手に入ることに驚き、その時Mori-Nuの名を知りました」と振り返る。
そんなMori-Nuが2016年10月に発売したのが、Make Your Own Tofu kitである。ネーミングの通り、「自分で作れる豆腐キット」。
この商品の原材料は水と大豆、個別にパックされたにがりと僅か3つだけ。これを可能にしているのはMori-Nuが30年に渡って培った無菌パック豆腐製造技術であり、Mori-Nuならではの商品と呼べる。20分程度で出来たて豆腐が作れるとあって、その新鮮さは折り紙付き。しかも、素材が何かを完全に把握したい健康志向の高い消費者にとっては安心、安全の食品と言える。
「健康志向の方はもちろんですが、2000年代に入り、インターネットの発達により、以前より『日本に行かなくても日本の事情に詳しい』米国の若者を中心とした層が増えています。そういった方々にも豆腐をただ買って食べるのではなく、自分で作ることに興味を覚えてもらえるのではないかとも考えています」
9月にはニューヨークの展示会にも出展した。「日本人と違ってアメリカの消費者は多少固いタイプを好みます。しかし、この手作り豆腐は日本人好みの柔らかいタイプです。そこで試食前に『手作りにより、滑らかで大豆本来の味が楽しめます』と説明することで、美味しく召し上がっていただくことができたと思います。適切な表現ではないかもしれませんが、まずは手作りかどうかに関わらず、豆腐自体の美味しさを味わっていただけるところまで現地の方々を教育する必要がある、と実感しています。この豆腐キットで正に本来の豆腐の美味しさを実感して頂けると思います」。
実はこの手作りキット、2年前にレストランなどのフードサービス向けに開発されたのが最初。現在も並行して業者向けに販売する一方で、今後は一般消費者に向けたパッケージでスーパーマーケットやオンラインでの販売活動を強化していく。
そしてもう1品、同社の新商品がMultnomah Falls。Mori-Nuの工場もあるオレゴンの観光名所の滝から命名された。ここ数年、アーモンドの人気が高まっている状況を受け、Mori-Nuの豆乳にアーモンドを合わせ、オーガニックかつGMO不使用で仕上げた。こちらはMori-Nu豆腐と同じく常温保存が可能だが、飲む前に冷やしておくのがベスト。
これらの商品が、アジア系に留まらず、米系マーケットでも5年以内に認知される商品に成長させること、また豆腐が米国社会で新たなタンパク源として一般の食材となることが同社の目標だ。
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