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仕掛け人に聞く
日本の食ニューウェーブ
- 2016年11月1日
- 2016年11月号掲載
アメリカでの日本食、次に来るのは何の波? また、人気の日本食でも、これまでとは違った新たな現象が起こってはいないだろうか? 仕掛け人とも言えるメーカーや食品商社に、手がける商品の市場における現状と可能性、新たな戦略について聞いた。
穀物
健康で豊かな食生活実現に貢献したい
日本国内のスーパーに行くと、お米と一緒に炊飯器に入れて炊くだけの大麦・雑穀米商品が豊富に並んでいる。最近では特に大麦がブームらしい。一体、どうのようにして大麦が受け入れられるようになったのだろう? その疑問に答えてくれたのが、はくばくUSA、エグゼクティブバイスプレジデントの津田穣さんだ。
「1955年頃から消費が徐々に減少していた大麦ですが、数年前に弊社から発売されたもち種の大麦(もちむぎ)が牽引する形で大麦の食物繊維を多く含む、その栄養価が見直され、ここ数年2桁の伸びで着実に需要が増えてきていました。ここ最近では、テレビ番組のダイエット企画などで数度にわたり取り上げられたこともあり、大きく注目を浴びることになりました」
はくばくの日本本社は、大麦と雑穀のカテゴリーで日本市場のシェアの5割程度を占めている。さらにスーパーなどに提供しているPBブランドまで含めると、日本の大麦・雑穀市場全体の約7割の流通量を一手に担うそうだ。
同社の製品のひとつ、「もち麦ごはん」は玄米の4倍の食物繊維が含まれている。日本でも生活習慣病の予防が叫ばれて久しいが、ここアメリカでもカロリーの過剰摂取や栄養の偏りなどで約8200万人が肥満、7900万人が体重超過、2900万人が糖尿病という報告もある。不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が両方豊富なもち麦には、便通改善といった不溶性食物繊維に見られる働きだけではなく、血糖値上昇抑制、コレステロール濃度正常化、腸内環境正常化などの水溶性食物繊維に特徴的な働きも備わっており、生活習慣病の改善が期待できる。
そこで、大麦・雑穀を浸透させることで、アメリカの消費者の健康的で豊かな生活に貢献したいとの思いから同社はマーケティングを開始、オンライン、業務用、一部のアジア系マーケットでもち麦ごはんは(MOCHIMUGI)を販売している。
「もち麦は新しい大麦の種類で、従来種と比べ風味が豊かでプチプチとした食感が特徴です。ご飯と一緒に炊いてもいいし、茹でてサラダやスープ、ハンバーグなどの詰め物に入れても美味しくお召し上がりいただけます。弊社の商品を試食したアメリカの方にも『プチプチとした食感が面白い』と言ったコメントを頂いています」
アメリカでは前述のように糖尿病や肥満の症状が多く見られる一方で、カリフォルニアを中心に健康志向の人々も多く、ヘルシーな日本食を好む傾向にある。
「お寿司に代表されるように、日本の食文化はアメリカで広く受け入れられています。弊社の商品も日本からの製品であり、美味しくかつ健康にいいことをポイントに拡販していきたいと考えています。今後は、炊飯用の商品だけにとどまらず、より簡単で食べやすく、アメリカの方々の食生活に合った形での提供もしていきたいですね。現在はホールフーズなどのマーケットでも、ブラウンライスやブラックライス、キヌアなどが脚光を浴びている状況ですが、そこでの大麦の認知度を上げ、より多くの方に選択される食材のひとつになることが目標です」
親しみやすいスタイルを消費者に提案することで、少しでも多くの人に大麦や雑穀に触れてほしい、と津田さんは語った。その先には必ず健康的なライフスタイルが実現するはずだ。
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