ロシアのウクライナ侵攻を受けて船会社や航空会社の規制が強化された影響で、世界の貨物輸送大手がロシア向けのサービスを停止している。
ウォールストリート・ジャーナルによると、スイスのキューネ・アンド・ナーゲルとドイツのDBシェンカーは顧客に向けて、陸路、海路、空路によるロシア発着の貨物輸送を停止することを通知した。デンマークのDSVとフランスのジオディスは、ロシアの同盟国であるベラルーシへの物流も停止していると述べた。
国際貨物輸送のデジタルプラットフォームを運営するフレイトス(Freightos、本社・香港)によると、一部の航空貨物輸送会社は、上昇する運営コストを補うためすでに戦争リスクのサーチャージを導入している。海上貨物輸送も、他港への荷物振り分けによって「すでに欧州その他の地域の出発港で貨物が山積みになっており、混乱を引き起こし、運賃を上昇させる可能性がある」という。
ドイツポスト傘下のDHLは、すでにロシア向け貨物の取り扱いを停止している。
調査会社アームストロング&アソシエイツによると、DHL、キューネ・アンド・ナーゲル、DBシェンカー、DSVは売上高で世界の4大貨物輸送業者であり、ジオディスは9位。
コンテナ船会社のAPモラー・マースク、メディテラニアン・シッピング・カンパニー(MSC)、CMAも食料品、医療品、人道支援を除いてロシア発着の貨物サービスを停止している。
ジオディスは、アジア~欧州間の鉄道貨物輸送の予約も停止している。この陸路サービスは過去2年間、荷主や貨物輸送業者が新型コロナウイルス禍による港の混雑の回避手段として人気が高まっていた。同社は、ロシア領空の通過を避けたい航空会社のサービス低下を補うため、中国~欧州間の運航で747貨物機のチャーター便を増やしている。
フレイトスによると、毎週コンテナ約1万個分の貨物がアジアから欧州へ鉄道輸送されている。同社は「制裁や混乱への懸念によって相当数のコンテナが鉄道から海上輸送に移行した場合、すでに不足している許容量を多くの荷主が競うことになり、アジア~欧州間の運賃に上昇圧力がかかるだろう」と話している。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
ターゲットとショッピファイが提携 〜 ターゲットのオンラインいちばに中小の小売業者らが出店可能に
-
人工知能銘柄が今後10年の株式市場を動かす 〜 シスコの元CEOのベンチャー・キャピタリストが予想
-
2024年7月8日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
スマート包帯の研究&開発が前進 〜 傷口の状態を遠隔追跡、包帯から投薬や電気刺激を可能に
-
飲食店で印刷メニューが復活~QRコード不評で
-
2024年7月1日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ウェザーXM、ウェブ3とIoTで気象データに革新 〜 動く気象観測所群の分散型連携網を構築
-
米消費者のガソリン車好き続く~KPMGの意識調査
-
2024年6月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
対中EV貿易戦争、様々な副作用も
-
傷が早く治る、次世代ばんそうこう~医師との通信も可能に
-
生体認証決済が米国で拡大しつつある 〜 マスターカードやJPモルガンも導入へ
-
米国特許商標庁、出願者らの個人住所流出が再発 〜「不注意」が原因、影響を受けた人たちに通知