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米国公的年金(Social Security)制度と、日本へ永住帰国した場合の請求方法
- 2021年6月19日
米国での老後生活にはなくてはならない米国公的年金(Social Security。以下「SS」と表記)。普段米国にいると、英語の情報に多く接することはあっても日本語の情報は意外と少ないのではないでしょうか? そこで今回は米、国在住者が加入しているSSについて紹介します。
1.米国年金制度の概要
1)米国居住者で就労している人はSSに加入します。現役として働いている時は給与から年金保険料(SS Tax)を掛け金として毎月支払い、老後に支払った保険料分に相当する退職年金(SS Benefit)を受給します。日系企業の駐在員は原則日本の本社と雇用契約を締結しているため、日本の国民年金(サラリーマンが加入する厚生年金を包含します)に加入したままの状態であり、SSへの加入は免除されます(※1)。
2)受給に必要なSS加入期間は40クレジット(10年相当)です。ただし日本の年金に加入していた期間があれば、その分を通算(合計)することができるので、SS加入期間が40クレジットに満たなくても受給できる場合があります。
3)SSの標準(満額)受給開始年齢は、生まれた年によって下記の表のように分かれています。
4)退職年金受給者に65歳以上の配偶者(現在、67歳まで段階的に引き上げ中)や18歳未満の子がいる場合等に、退職年金の50%に相当する額を「家族年金」として受けることができます(複数いる場合は一定の上限あり)。
5)上記2)、3)における受給開始年齢は繰上げ請求が可能(最大62歳まで)ですが、その場合は月45時間を超えて就労していないことが条件になります。また、一度繰上げ請求すると生涯にわたって一定の率で減額されます。逆に受給開始年齢を繰り下げることも可能です。その場合は一定の率で増額されます。
6)その他、障害・遺族年金制度があります。遺族に対しては遺族年金のほかに死亡一時金制度があります(死亡後2年以内に請求が必要)。
2.日本へ永住帰国した後でも請求できる?
米国居住中に受給開始年齢を迎えた場合は米国内で請求手続きを行えますが、その前に日本へ永住帰国した場合は、日本国内でも請求手続きを行うことができます。具体的には日本全国にある日本年金機構の「年金事務所」で手続きを行います。最寄りの年金事務所へ電話予約し(2020年より年金請求は予約制となっています)、必要書類(下記)を提出します。提出した書類は駐日米国大使館の年金課へ送付され、後日担当者から年金請求者に対し電話による質問があります。請求時の提出書類は以下になります。
・合衆国年金の請求申出書(ダウンロード可)
・(家族がいる場合)戸籍謄本(または除籍謄本)
・SSカードのコピー
・日本の年金加入が分かるもの(年金証書、年金手帳、共済組合員証などのコピー)
・身分証明書
3.SS受給者の変更手続き
すでにSS受給中の人が、書類の送付先住所や年金受取銀行口座を日本に変更することもできます。その場合は年金事務所ではなく、駐日米国大使館の年金課へ直接コンタクトします(電話またはemailで)。
4.注意事項
・SSの標準受給開始年齢時期を知らずに遅れて年金請求した場合、6カ月まで遡及して受給できますが、それ以前の分は失効となります。この点、日本の年金制度では5年遡及です。うっかり日本の年金と間違えてしまうことがありますので注意してください。
・SS請求時に日本の年金の受給の有無について聞かれることがります。Yesと回答すると米国年金が減額される場合があります。これはSSのWEP規定によるものです(※2)。
※1:Social Securityへの加入免除は日米間の社会保障協定が締結された2005年以降であり、それまでの米国駐在者は日米の年金に重複して加入しています。
※2:詳細はSSA.Govのウェブサイトをご参照ください。
https://www.ssa.gov/benefits/retirement/planner/wep.html
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