歩行者の交通事故死が増加〜スマホ普及で注意散漫に

 長年減少が続いた歩行中に車にはねられて死亡する人の数が、ここ数年で再び増加している。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、運輸省の統計では、1975年に7500人を超えていた歩行中の交通事故死者は2009年に4109人まで減少したが、11年は4432人に増加し、すべての交通事故死(3万2367人)の14%を占めた。特に70歳以上の高齢者が多く、11年は100万人当たり22人と年少者のほぼ2倍だった。

 歩行者の交通事故死が増加に転じた要因として、ドライバーと歩行者の両方で、スマートフォンを使いながら運転または歩行するなど注意が散漫になっていることが挙げられる。酒に酔ったまたは麻薬が効いた状態で歩くことも原因と考えられる。

 また、近年は車を使わず歩く事を奨励する都市が増えた一方で、都会に戻るベビーブーマーは年を取るにつれて車を運転せず、歩くことが多くなる。

 07〜11年の交通事故死の40%を歩行者が占めたワシントンDCで、自動車保険業界団体の道路安全保険協会(IIHS)が行った調査によると、ドライバーの信号無視、速度違反、歩行者に道を譲らないといった理由から、住民の約9割が「市内の道路は歩行者にとって危険」と回答した。

 DCの警察によると、交通監視カメラの設置などで歩行中の死者数は07年の25人から12年には8人に減少しており、カメラの数は今後も増やされる予定。

 一方、ニューヨーク州では11年に不注意運転による事故死者数が2万5000人を超え、飲酒運転絡みの死者(4628人)を大幅に上回った。このため同州の警察官は、テキストしながら運転しているドライバーを見つけただけで停止を命じられる権限を与えられている。

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