セルタワーからの落下事故が増加〜LTEへの更新作業に追われ
- 2013年8月23日
- 米国ビジネス
設備更新が急ピッチで進む通信業界で、作業員がセルラー・タワー(無線通信塔)から落下する事故が増え、今年に入って10人以上が死亡、3人が重症を負っている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、業界では大手キャリヤー(通信サービス業者)が次世代高速無線通信網(4G LTE)の敷設を進めており、先行するベライゾン・ワイヤレスとAT&TをスプリントとTモービルが追っている。
事故の多発を受け、連邦の労働安全衛生管理局(OSHA)は事故とキャリヤーとの関連を含めた新しい監督方法を検討しており、契約内容を精査して工期に関するキャリヤーからの圧力がなかったかどうかも調べている。通常、タワーに登る作業員は請負業者や孫請け業者に雇われ、現場にキャリヤーの社員はいないため、これまでは作業事故でのキャリヤーの責任を問うことが難しかった。
OSHAによると、国内の通信タワー業界では約1万人が働いている。死者10人は一見すると大きな数ではなさそうだが、従事者当たりの比率でみると国内でも非常に危険な業界の1つで、OSHAは2008年、06年の殉職者18人という数字を基に、通信タワー業界を「漁業や林業を抜いて最も危険な職業」と発表している。
その後死亡事故は減り、12年はわずか1件だったが、関係者によると今年は非常に忙しく、何週間も休みを取っていない作業員も多いという。ある工事責任者は「作業員は1日12〜16時間働いている。疲れると命綱の掛け忘れや掛け違いが起きやすい」と話している。
作業員は、地上数百フィートの場所でサーフボード大のアンテナを交換したり、ケーブルの交換、故障機材の修理といった作業を行うが、動くたびに命綱を掛け外しするため時間がかかる。今月上旬、ノースカロライナ州にあるスプリントのタワーで起きた事故では、作業員(49)が地上約200フィートで命綱をタワーに固定しようとして失敗し、転落死している。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年7月16日 アメリカ発ニュース
米技術業界重鎮ら、トランプ氏の激励をあいついで表明 〜 暗殺未遂速報を受けて続々と投稿
-
ターゲットとショッピファイが提携 〜 ターゲットのオンラインいちばに中小の小売業者らが出店可能に
-
人工知能銘柄が今後10年の株式市場を動かす 〜 シスコの元CEOのベンチャー・キャピタリストが予想
-
2024年7月8日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
スマート包帯の研究&開発が前進 〜 傷口の状態を遠隔追跡、包帯から投薬や電気刺激を可能に
-
飲食店で印刷メニューが復活~QRコード不評で
-
2024年7月1日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ウェザーXM、ウェブ3とIoTで気象データに革新 〜 動く気象観測所群の分散型連携網を構築
-
米消費者のガソリン車好き続く~KPMGの意識調査
-
2024年6月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
対中EV貿易戦争、様々な副作用も
-
傷が早く治る、次世代ばんそうこう~医師との通信も可能に
-
生体認証決済が米国で拡大しつつある 〜 マスターカードやJPモルガンも導入へ