ZFのTRW買収の衝撃
- 2014年7月18日
- 自動車関連
ZFフリードリフスハーフェンのTRWオートモーティブ買収の申し出は、自動車部品業界に大きな衝撃を与えるだろう。
買収により、ZFが自社のメカニカル製品に安全技術を付加できるようになる。それは、今後数十年にわたり、著しい進歩が見込める自動車の技術分野で、世界的な競争力を身につけることを意味する。自動運転車をはじめとするドライブシステムでの電化アシストの領域で、自動車関連サプライヤーの専門知識のコラボレーションが業界の流れを変える対応を可能にする。
ヨーロッパ自動車部門に詳しい専門家の一人は「ZFは自動車安全機器の分野に参入する道を模索し続けていた。数年前にチェリー社のエレクトロニック事業を買収したが、より強力な安全システムの製造部門を獲得する必要を感じている。TRWとの合併は、短期間では甚大な収入増大には結びつかないだろうが、ZFは長期計画を視野に入れている。ZFが中期計画として、TRWからスピンオフを検討するファスナーやバルブのような事業も多数ある。それらの事業部門の拠点はドイツにあり、既にTRWの大多数の事業と相乗効果を生まないだけでなく、ZFの利益に合致しない」とコメントしている。
合併による巨大企業の誕生は、自動車業界の供給網の下部にわたって影響を及ぼす。コンチネンタルとシェフラーの2013年の200億ドルの共同購買は、両社にとって経費削減と主要サプライヤーとの密接な関係性を実現した。ZFの2013年の売上げはTRWよりも低かった。ZFは、買収時に自社の業績を必要以上に引き上げないようにしなければならない。2008年のシェフラーのコンチネンタル買収時は、世界的な下降期の直前であり、両社が危険なまでの業績引き上げを行った。コンチネンタルはシーメンスVDOを買収する際も多額の負債を負っている。ZFとTRWも、市場と株主が取引を受け入れる限りにおいては、新しく誕生した事業体が、自動車業界の自動化と電化を促進する、進化したシステムとコンポーネントのサプライヤーとなる可能性は十分にある。
ZFがTRWを獲得すれば、両社ともが単独ではなし得ないシステムと製品開発が、相乗作用によって可能になるだろう。
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