米海軍、立体印刷の船上活用に模索 〜 現場での独自の部品調達向上に期待

 米海軍は、船上での立体印刷活用が向こう5〜10年で大きく向上すると期待しており、海上における製造技術の応用実験を今後さらに強化する方針を示した。

 海軍は現在、ストラタシス(Stratasys)製の立体印刷機を米艦船(USS)エセックスに積載し、波やエンジン振動による動きのなかでも小型の構成品を積層造形できるかどうかを実験中だ。

 インベスターズ・ビジネス・デイリー紙によると、「立体印刷機は、製造が中止された旧型機器類の構成品の製作や、現場の状況に応じて小物を作り変えるのに役立ち、従来の供給網に依存せずに必要品を独自調達できるという利点をもたらす」とエセックスの医務幹部トレイシー・ルイス中佐は話す。

 海軍の艦船には大きな貯蔵庫があり、そのなかには、海上での修理や交換に必要な各種の構成品や部品が数多く保管されているが、それらの多くは使われることない。

 したがって、立体印刷機による船上製作を導入すれば、貯蔵庫の空間を増やし、部品交換にかかる時間も節約できる、とルイス氏は指摘する。

 海軍が試験運用中の立体印刷機は、積層造形素材として金属を使えないため、現段階では、たとえば、油缶のプラスチック製キャップや医療器具のプラスチック部位といった非金属品に限定される。

 また、船が揺れるため、精密な積層造形も困難という課題もある。しかし、海軍ではその解消策を模索中で、立体印刷技術自体も進んでいることから、今後数年間で実用化できるだろう、と同氏は期待する。

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