PHVの炭素排出量、エンジン車と大差なし

プラグインハイブリッド車(PHV)の二酸化炭素(CO2)排出量は、平均すればガソリンやディーゼルエンジン車より19%少ないだけということが、環境団体の欧州運輸・環境連盟(T&E)による最新調査で判明した。欧州では自動車業界がPHVをカーボンニュートラル車として認めるよう当局に求めているが、その裏付けがあやしくなってきた。

◇公称値の5倍

エレクトリック・カーズ・リポートによると、T&Eが12万7000台に上るPHVのエミッションデータを分析した結果、実際のCO2排出量は公式試験値の約5倍に達していた。これは、規制当局が通常走行とみなす方法で行う世界共通の試験(WLTP)と、実際の走行に大きな違いがあるためで、T&Eが欧州環境庁(EEA)の燃料モニターから収集したデータの分析では、実走行時のCO2排出量はPHVが平均で1キロメートル当たり135グラム(g/km)、ガソリン/ディーゼル車は166g/kmだった。

PHVは、外部から充電可能な電池とガソリン/ディーゼルエンジンの二つの動力源を備え、切り替えながら走ることでCO2排出量と燃料消費を減らすと考えられているが、現実の走行環境では電動モードで走行する時も100km当たり平均3リットルのガソリンを消費しており、結果として68g/kmのCO2を排出している。これは公式試験値の8.5倍に当たる。

これは、PHVの電動モーターが高速走行や坂道では出力が足りず、エンジンが動いて補助するためで、電動モード走行距離の約3分の1でエンジンが稼働している。T&Eの報告書によると、PHVは実際の燃料消費が多いため、ドライバーは燃料や充電に関してうたわれている額より年間約500ユーロ多くの費用を払っているという。

また、PHVは運用コストだけでなく車両価格も完全EVより高い。ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、2025年のドイツ、フランス、英国におけるPHVの平均販売価格は5万5700ユーロと、EVより約1万5200ユーロも高い。

◇航続距離延長は逆効果

最近は、より長い電動航続距離を実現するために電池容量を増やしたPHVも増えているが、これはかえって逆効果で、車がより重くなるためエンジン走行時の燃料消費が増え、結果的にCO2排出量が上昇する。データによると、電動航続距離が75kmを超えるPHVの平均CO2排出量は、航続距離45~75kmのモデルを上回っている。

23年のデータによると、CO2排出量で公式値と実際の差が最も大きかったのはメルセデス・ベンツのPHVだった。実際の平均排出量は公式値より6倍近く(494%)も高く、特にGLEクラスは7倍超(611%)と最大の差になった。他の主要な欧州自動車メーカーも排出量は公式値を約300%上回っている。

欧州の自動車業界は、欧州連合(EU)が35年以降新車販売を実質的にゼロエミッション車のみに限定した後もPHV販売を認めるよう求めている。また、自動車メーカー各社は、PHVのCO2評価を実走行に近づけるためにEUが設定しているユーティリティー・ファクター(電気走行の貢献割合を表す係数)の撤廃も要求している。この係数は25年および27年に段階的に適用され、公式値と実際の排出量の差を是正する仕組みだが、これによってメーカーのCO2目標が厳しくなり、完全EVの販売を増やさざるを得なくなるため業界は強く反発している。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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