マスク氏、エックスを万能アプリケーションに進化させる方針 〜 決済プラットフォームを統合、試験版を一般公開へ

イーロン・マスク氏は4月26日、新たな金融サービス機能をエックスに統合する方針を明示した。

ブルームバーグによると、同氏は、エックスの内部に構築された銀行および決済プラットフォーム「エックス・マネー(X Money)」を近く公開する計画だ。2025年から社内で限定的に試験されてきた同機能は、良好な状態のエックス・アカウントを持つ米国内在住の18歳以上の利用者から選ばれる一部の人々に公開され、試験運用の第二段階に進む見通しだ。

それらの一般試験利用者は、エックス・マネーでの特典対象消費額の3%の現金還元(cash back )や年利6%の現金貯蓄機能といった競争力のある特典を享受できる。年利6%という利率は全米平均の約15倍に相当する。

エックス・マネーは、買い物だけでなく個人間送金機能も提供する。そのほか、エックス・アカウントの利用者名を刻印した金属製ビザ・デビット・カードや、マスク氏の新興企業xAIが開発した仮想執事(人工知能コンシェルジュ)も提供される予定だ。

ペイパル(PayPal)の共同創業者でもある同氏は、中国で普及したソーシャル・メディアに類似した「スーパー・アップ(super app)」(何でもできるアプリケーション)を米国内で普及させるには、決済機能が不可欠とみている。中国のウィーチャット(WeChat)には、配車サービスの利用から航空券予約、クレジット・カード支払いまで生活に必要な決済機能が統合されている。

エックス・マネーが軌道に乗れば、ソーシャル・メディアと金融サービスの融合アプリケーションという米国ではこれまで存在しなかった規模の万能アプリケーションが誕生することになる。

ただ、そういったスーパー・アップが米国市場で成立するかどうかは不透明だ。そのおもな理由には下記三つがある。

1)規制環境の厳しさ:米国では個人向け融資やデータ・プライバシー、独占禁止法に関する規制があるため、ウィーチャットのようなスーパー・アップが発展しにくい

2)米国内利用者の行動様式:中国では当初、スマートフォンの性能がすぐれていなかったため、いくつものアプリケーションを走らせることがむずかしく、少数の多機能アプリケーションが重宝がられた。米国では早くから高性能スマートフォンが普及したため、何十もの金融サービス・アプリケーションを使い分けるという行動が定着した

3)既存アプリケーションの強固な市場基盤:米国では各分野で早くから強力なアプリケーションが存在したため、スーパー・アップがあとから参入する場合、利用者の慣れ親しんだ行動様式を変えさせる必要がある

そのため、マスク氏のスーパー・アップ構想が実現するかどうかは現時点では果たして疑問という見方も根強い。実際、エックス・マネーは、ニューヨーク州を含む複数の州で決済サービス業の事業免許をいまだ取得できていない。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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