日本には劣れど、アメリカでも楽しめる
Hot Springs5選!

文&写真/関克久(Text and photo by Katsuhisa Seki)

アメリカの富裕層向け旅行専門誌の「AFARマガジン」が、「世界の夢のような温泉11選」”11 of the World’s Dreamiest Hot Springs”を発表した。日本には温泉ソムリエがいるほどお湯への造詣が深く、おもてなしを極めた老舗の温泉旅館も何千とあって日本の温泉に敵う施設は無いと思っていたのだが、いやいや、やっぱり世界は広い! どこも行ってみたくなる温泉ばかりだ。日本からは群馬県の水上温泉郷にある宝川温泉がランクインしている。

そしてアメリカからは、コロラド州 のスキーリゾートの穴場としても知る人ぞ知るテルライドから、30分ほどのドライブで行けるDunton Hot Springsが紹介されている。ここは1800年代に栄えて、ゴーストタウンとなっていたところを13のラグジュアリーキャビンに改造された。1日$1500以上するが、44人までしかお客様を受け付けない高級リゾートだ。

AFARの「世界の夢のような温泉11選」のリンクはこちら

AFARの世界の温泉11選に選ばれた宝川温泉

Dunton Hot Springs

Dunton Hot Springs Cottage Cabin

コロラド州はまさに温泉の宝庫。一般の人々が気軽に行ける温泉も数多くある。

Glenwood Springs(グレンウッド・スプリングス)

アメリカで一番大きい温泉プールといわれるGlenwood Springs。夕方になると仕事帰りのビジネスマン、夕食前の温泉デートとしゃれこむカップルなどで賑わう。週末は家族が集ってちょっとした社交場になっている。

アメリカ最大の温泉プール、Glenwood Springs

この温泉プールの隣に、ヒストリックホテルに指定された由緒あるCOLORADO HOTELがある。1893年に上流階級向けに高級温泉リゾートとして開業して以来、タフト大統領、セオドア・ルーズベルト大統領などが訪れている。

もともと猟が趣味だったルーズベルト大統領は、コロラドには毎年のように来ていた。ある日、収獲が無かったのでホテルのメイドが熊のぬいぐるみを作って大統領にプレゼントした。それを娘のアリスが「私、この熊、テディって呼ぶわ」と言ったことから、テディベアの誕生になったのだそうだ。コロラド・ホテルがテディベア誕生の地というわけだ。テディベア誕生には諸説があるようだが、コロラドの人々はこの説を固く信じている。

Glenwood Springsの向かいに立つColorad Hotel

Orvis Hot Springs(オーヴィス・ホット・スプリングス)

前述のテルライドから北に20分ほどドライブするとユーレーという街がある。街中にも温泉プールがあるが、そこからさらに北へ30分ほどドライブしたRidgewayという小さな町にも、Orvis Hot Springsがある。ここはなんと水着無しでもOK! ” Bathing Suite is Optional”というわけなので、ほとんどの人が素っ裸で温泉を楽しんでいる。といっても小さな温泉がいくつも庭に点在しているので、他人と一緒に入るという確立は低いというわけだ。

Ovis Hot Springsに近いユーレーの町

Orvis Hot Springs

Orvis Hot Springs Map

Hot Sulphur Springs Resort(ホット・ソルファー・スプリングス・リゾート)

コロラドといえば、ロッキーマウンテン国立公園が大きな見所だが、同公園の南、デンバーから2時間弱のところに、Hot Sulphur Springs Resortがある。ここは地元の人が気軽に楽しめる、また療養にも利用されている庶民的な温泉だ。お湯はほんのりと硫黄の香りがして、乳白色。コロラドでも有数のお湯の質を誇る。ネイティブアメリカンが人間のみならず、家畜の療養にも使っていたそうで、1840年に白人に発見されて土地を買い上げられ、現在に至っている。

Hot Sulpher Springs

Hot Sulpher Springs & Spa

Hot Sulpher Springs 乳白色のお湯

Pagosa Spring Resort & Spa(パゴサ・スプリングス・リゾート&スパ)

コロラドで屈指の温泉はなんといっても、Pagosa Spring Resort & Spaだろう。デンバーからRt25を南に約1時間、コロラド・スプリングスを過ぎ、キャノン・シティからさらに南西に3時間程走るとニューメキシコに近いパゴサ・スプリングスの街に到着する。街の真ん中にサンワン川が流れ、その川を渡るとプーンと硫黄の匂いがしてくる。人口2000人足らずの小さな町だが、ネイティブアメリカンが療養に利用していた源泉が今もあって、湯治場としても有名だ。

湯の温度が異なる小ぶりの温泉プールがいくつもあって、家族、カップルで楽しめる。日本の温泉と比べると一番温度の高いプールでもちょっと物足りない。やっぱりカーッと汗が滲み出る位の温度が日本人には合っている。

Pagosa Springs サンワン川にお湯が溢れ出ている

Pagosa Springs の古い源泉

Pagosa Springs 温度の異なる温泉がいくつもある

Ojo Cliente Mineral Springs Resort & Spa(オホ・カリエンテ・ミネラル・スプリングス・リゾート&スパ)

ニューメキシコ州には、アメリカ最古の温泉といわれる、Ojo Cliente Mineral Springs Resort & Spaがある。ここも何千年も前からネイティブアメリカンがヒーリングに利用していた。リチウム、鉄、ソーダ、ヒ素の4種類のお湯があり、うつ病、リウマチなどに効くとの事。プールはぬるく、奥に熱いお湯があるが、日本人には物足りない。

ここは長期滞在の療養者向けにホテルも併設されていて、各部屋にいわゆる露天風呂もある。ニューメキシコの、サボテンしかない荒野のど真ん中にあるリゾートだが、レストランはなかなか充実していて、葉巻に似せたしゃれたケーキがお勧め。入れ物も特注で作ってある。

Drink At Your Own Riskと書かれた井戸がある。意外にも多くのお客様が水筒に入れて、持ち帰っていた。よほど効用があるのかもしれない。匂いはあまりきつくはないが、薄い昆布茶の味がする。

Ojo Caliente Mineral Spa Resort

Ojo Caliente Mineral Spa Resort レストランも充実

Ojo Caliente Mineral Spa Resort 「Own Riskで飲んでください」とある

日本の温泉はお湯を楽しむだけでなく、地元の食材をふんだんに使った料理はもちろん、浴衣姿で温泉街を歩くなど風情を楽しめるのだが、アメリカはお湯だけを楽しむ。まだ風情を醸し出すだけの歴史が無いので仕方がないが、その合理的な割りきり方がアメリカだし、それをわきまえれば陽気なアメリカ人との会話も楽しめる。コロラド~ニューメキシコの温泉めぐりはいかがだろうか。

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関克久 (Katsuhisa Seki)

関克久 (Katsuhisa Seki)

ライタープロフィール

旅行のプロデュースに携わって30年。趣味は写真。「百聞は一旅に如かず」旅に出て初めてわかるのは、実は故郷の良さなのかも知れません。「旅は百薬の長」、皆さん旅に出ましょう!

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