クックCEOが後任者に語った助言とは 〜 スティーブ・ジョブズ氏から引き継がれる成功の方程式

アップルのティム・クックCEOが次期CEOに指名された15年前、同社の共同創業者であり当時のCEOだったスティーブ・ジョブズ氏はクック氏に一つの助言を贈った。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、クック氏はジョブズ氏からもらったその助言を自身の後任であるジョン・ターナス氏にあたえたという。会社経営に成功するための方程式の一つがジョブズ氏からクック氏、そしてターナス氏に引き継がれたと言える。

▽15年前にジョブズ氏からもらった助言

ジョブズ氏は2011年に、クック氏を次期CEOに指名した際、「私だったらどうするかなんて考えるな。ただ、正しいことを実行しろ」と強調したという。

退任を発表する数週間前のクック氏は、後任者に何を助言するかを記者に質問された際、「おそらく私も同じことを言うだろう」と答えた。

アップル(Apple)は創業50周年の節目を目前に控える。車庫で誕生した同社が地球上でもっとも価値のある会社にまでのぼりつめた半世紀を振り返りながら、クック氏はジョブズ氏からの助言を回想し、ターナス氏にも同じ内容を助言した。

▽ウォルト・ディズニーの二の舞にならないために

クック氏がジョブス氏から次期CEOに指名された理由は、クック氏が供給網管理の達人だったからだ。もちろんそれだけが理由ではないが、効率的な量産と流通という供給網がきわめて重要な要素となった時代において、世界中の消費者がアップル製品を買えるよう手配することにかけてクック氏は天才だった。

ジョブズ氏は、末期の膵臓がんで2011年に逝去する直前に、アップルがウォルト・ディズニー(Walt Disney)の二の舞になることを何が何でも避けたいという思いをクック氏に示していた。

ディズニーの経営陣は、創業者のウォルト・ディズニー氏の死後、「彼ならどうしたか」を考えることに時間を費やしすぎた、とジョブズ氏は指摘した。「他人の思考に自分をあてはめようとすれば、麻痺状態に陥る」とクック氏は話した。

▽「会社の価値観という北極星」

クック氏はさらに、後任者への助言として「自分らしくあれ」と付け加えた。「会社の価値観という北極星(不動の目標や指針)をしっかりと見すえ続けることだ」と同氏は話した。「価値観が正しく、北極星が明確に見えていれば、たとえ進路を乱されることがあっても、最終的には正しい道に戻ることができる。私はつねにそう確信してきた」と同氏は語った。

アップルは、クック体制下で時価総額3500億ドルから4兆ドルへと飛躍した。就任当時に約1000億ドルだった年間売上高は、現在ではアイフォーン事業単体の売り上げだけで毎年2000億ドルを超える。

クック氏は現在、執行会長(executive chairman)に就任する準備を進めている。人工知能技術においてほかの技術大手らに出遅れたと指摘されるアップルは、人工知能革命による劇的変革期にクック体制からターナス体制に移行する。

▽「自分より優秀な成果を出せる人」を後任に

クック氏の根底には、「あすはきょうよりも良くなる」という簡潔ながらも強力な信念がある。同氏は、自身が両親や先人たちの成功という土台の上に立っているだけという謙虚な認識を持っている。今度は、次世代の人々に自身の土台をわたすことが重要だ、と同氏は考えている。

クック氏もジョブズ氏と同様に、「自分より優秀な成果を出せる人にバトンをわたすことが退任CEOの責務であり、それがきわめて肝要だ」という考えている。

そのバトンを受け取るターナス氏は、人工知能革命期にアップルをいかに成長させ続けられるのか、世界中の関心ををこれから集めることになる。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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