NSA情報活動、米企業に打撃〜クラウド・サービスの解約増える

 国家安全保障局(NSA)によるIT企業を通じた情報監視活動が明らかになったことで、米クラウド・サービス業者のビジネスに悪影響が出始めている。

 IT情報サイトのコンピュータ・ワールドUKが発表した最新調査によると、非米国企業の代表207人のうち10%が、米IT企業による当局への情報提供が発覚した後に米国のクラウド・サービス業者との契約を取りやめたと答えた。また、56%は米国を拠点とするクラウド・オペレーターと関わることをためらうようになっている。

 インターネットを通じて電算処理、情報保管を行うクラウド・コンピューティングやストレージは巨大かつ成長中の市場で、ハイテク調査ガートナーは関連サービスの世界市場は2013年に18.5%拡大し1310億ドルに達すると予想している。

 欧州のクラウド・サービス業者は現在の状況を好機ととらえ、クラウドシグマ(CloudSigma、スイス)のロバート・ジェンキンス最高経営責任者(CEO)は6月に一連の報道が始まった直後から「海外での競合という点では米企業にとって非常に大きな痛手」と指摘した。シティ・ネットワーク(City Network、スウェーデン)のヨハン・クリステンソンCEOは「データをスウェーデンに保管したいからと当社に来る客が多い」と話す。

 ドイツのハンスピーター・フリードリヒ内務大臣も「通信が監視されることを懸念する人は米国のサーバーを経由しないサービスを使うべき」と話している。米国ではブッシュ前政権時代から、テロ対策として成立した愛国者法により盗聴活動などに対する政府権限が拡大していたため、外国の消費者の間では米クラウド・サービス会社に関する懸念が高まっていた。

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