カーギル、エネルギー戦略見直し〜石炭、ガス、電力取引から撤退

 穀物大手カーギル(ミネソタ州)はこのほど、エネルギー事業の市場戦略を見直し、石炭取引および欧州の電力・ガス市場から撤退すると発表した。より競争力の高い分野に力を入れるのが目的。

 ロイター通信によると、カーギルは14年前にスイス・ジュネーブに設立した電力とガスの取引部門を閉鎖する。広報担当者は「顧客とカーギルにとって最大の成功が得られる資源に集中するための決定」と説明しており、1億ドルを超えると報道された最近のエネルギー取引損失とは無関係だという。

 デイビッド・マクレナン最高経営責任者(CEO)は6カ月前、「モノの取り引きを増やしてエネルギー事業を拡大する」と発表したばかり。格付け会社フィッチ・レイティングスの上席幹部ジュディ・ロゼッティ氏は「世界で行う業務全体の利益率を最大化するための戦略変更である可能性が高い」と見ている。

 カーギルは、世界最大規模の非上場企業であり、コモディティ(一次産品)最大手で、最大の穀物商社。13年度の売上高は1367億ドルに上り、上場企業を対象とするフォーチュン500社でいえば上から10番目に相当する。同社は炭素排出量取引や再生可能エネルギー事業も閉鎖しており、 投資家は他のトレーディング会社がカーギルのエネルギー戦略に追従するかどうかに注目している。

 エネルギー関連事業の閉鎖で影響を受けるのは、14万人の社員のうち50人未満で、その多くは他の部署に異動する。石油、石油化学、鉄鉱石、鉄鋼、海運、北米のガスと電力のトレーディングは今後も続ける。

 一方で同社は、ブラジルで砂糖取引の合弁事業を始めると発表した。

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