サノフィ、吸引型インスリンの販売権取得
- 2014年8月13日
- 米国ビジネス
仏製薬大手サノフィは12日までに、バイオテク医薬品マンカインド(MannKind、カリフォルニア州)が開発した吸入型インスリン「アフレッザ(Afrezza)」の世界販売ライセンスを取得した。
ブルームバーグ通信によると、契約金は最高9億2500万ドルで、サノフィは1億5000万ドルの前金と、アフレッザが一定の販売や開発目標を達成した場合に最高7億7500万ドルをマンカインドに支払う。サノフィはこの薬品に関する損益の65%を取得し、マンカインドに最高1億7500万ドルの経費も前払いする。
アフレッザは世界で唯一の吸引型インスリンで、この6月に米国で販売認可が下りたばかり。サノフィの糖尿病部門のピエール・チャンセル上席副社長は「既存の薬品と競合せず、補完し合うことになり、当社の資産内容が向上する。注射によるインスリン投与をなかなか始められない患者向けに販売する」と話している。
サノフィは、同社のトップセラー商品であるインスリン「ランタス」の特許が2015年に切れるため、以降の収入を支えデンマークの同業ノボ・ノルディスクと競争するための戦略を模索しており、この6月には医療機器大手メドトロニクスとインスリン投与を簡単にする装置に関する契約にも合意したばかり。
米国には、体内で十分なインスリンを生成できない、もしくは効率的に血糖を分解できない糖尿病患者が2910万人いると推定され、病気が進行すると心臓病、視力障害、神経や腎臓の障害などを引き起こす恐れがある。
アフレッザは、1型および2型両方の糖尿病患者に効き目があり、食事中に使用する。米国では 15年第1四半期に発売の予定で、国外での開発やマーケティングはサノフィが担当する。
吸入型インスリンは06年にファイザーの「エグズベラ(Exubera)」が認可されたが、インスリンが肺に直接入ることから肺がんのリスクが懸念され、販売が予想以下にとどまったため翌年には市場から撤退した。アフレッザではこの問題が改良され、カートリッジを使って粉末で吸引する仕組みで、一般的なインスリン注射より速く食事中の血糖値を調整する。
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