中村氏、シリコン・バレーで起業 〜 企業と闘ったノーベル物理学賞受賞者

 2014年のノーベル物理学賞に決まった日本人3人の一人である中村修二氏は、日本で雇用主を相手に闘ったサラリーマンとして有名だ。

 雇用主相手の訴訟で数百万ドル(約8億円)を勝ち取った中村氏は、その後、2008年にシリコン・バレーでベンチャー企業ソラー(Soraa)を共同設立し、発光ダイオードの研究を続けている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、日亜化学工業に20年間勤務し、現在はカリフォルニア大学サンタ・バーバラ校で教授を務める中村氏は、2004年に出版された同紙とのインタビューで、自らを「企業に全身全霊を捧げる典型的な日本人サラリーマン」と紹介した。

 日亜は1990年に、中村氏の青色LED(発光ダイオード)に関する発明の特許を取得し、中村氏に2万円のボーナスを支払った。

 1990年代半ばから米国で外国人研究者と活発に交流を始めた中村氏は、2万円という報酬がいかに小さいかに気付いたという。

 「(米国で会った人たちは)私が(日亜から)数億から数十億円の支払いを受けたと思っているようだった。実際の報酬を伝えると、『奴隷中村』と呼ばれたものだ」と、同氏はインタビューで述懐している。

 中村氏は1999年に日亜を退社し、発明対価が正当ではないと主張して2001年に日亜を日本で訴えた。2004年1月に東京地裁は、中村氏の発明による日亜の潜在利益を1200億円以上とはじき出し、その半分の604億3000円を得る権利が同氏にあると判断して、中村氏が請求した200億円の支払いを同社に命じた。

 しかし、日亜が控訴した結果、東京高裁は同社が約8億円を同氏に支払うことで和解するよう勧告し、両者は和解した。「日本の司法は腐っている」と同氏は判決後に記者団に述べた。

 同裁判は、日本の企業が社員の能力を搾取している実態に関し、発明対価を求める社員個人の権利を見直すきっかけになった。

 日亜の広報担当者は中村氏の受賞が決まったことを受けて、青色LEDは中村氏が一人で開発したものではなく、日亜とその従業員の努力の賜物という従来の見解を繰り返した。

 中村氏は「LEDの省エネ技術が、世界的なエネルギー消費量節減と照明費用削減に役立つことを望んでいる」と喜びを語っている。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
STS Career

注目の記事

  1. 植民地から合衆国建国へ 18世紀半ば、現在のアメリカ東海岸にはイギリスの支配下にある...
  2. 2025年12月1日

    就職&雇用ガイド2025
    監修 STS Career https://usfl.com/author/stscar...
  3. 2025年10月8日

    美しく生きる
    菊の花 ノートルダム清心学園元理事長である渡辺和子さんの言葉に、「どんな場所でも、美しく生...
  4. 2025年10月6日

    Japanese Sake
    日本の「伝統的酒造り」とは 2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日...
  5. アメリカの医療・保険制度 アメリカの医療・保険制度は日本と大きく異なり、制度...
  6. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
  7.        ジャズとグルメの町 ニューオーリンズ ルイジアナ州 ...
  8. 環境編 子どもが生きいきと暮らす海外生活のために 両親の海外駐在に伴って日本...
ページ上部へ戻る