ウーバーなど携帯アプリを使った配車サービスに慣れすぎて、普通のタクシーに乗った場合の常識を忘れてしまう人が増えている。
■行き先も告げず
ウォールストリート・ジャーナルによると、近年は配車サービス・アプリの人気が高まり、最大手のウーバーを日常的に使う人は月に7500万人以上いる。こうしたアプリを使う場合、事前に行き先を入力してサービスを要請し、車が来るとドライバーの名前を確認して乗り込むだけで行きたい場所に行ける。
支払いはカードで自動決済されるため、現金をやり取りする必要はなく、目的地に着いたらそのまま降りて、ドライバーの評価やチップの支払いは後でできる。
こうした手順に慣れたウーバーの常連客が普通のタクシーに乗った時に起きているのが、ドライバーに行き先を告げない、料金を払わずに降りてしまう…といった問題だ。
ウーバーの広報担当者は「ウーバーでない車に乗っている時にも客がウーバー式に行動するのはわくわくする」と喜んでいるが、タクシー運転手にとってはあまり喜ばしいことではない。
■平然と無賃乗車
アリゾナ在住のヘアスタイリスト、エミリー・フィンさん(24)はいつもウーバーかリフトを利用するが、ある晩、飲酒した挙句に携帯電話の電池が切れたため、普通のタクシーを使った。降りて歩いていると騎馬警官に後ろから呼び止められ、100ドルの違反切符を切られた。ウーバーに乗ったつもりで運賃を払わず降りたためで、無賃乗車の自覚はまったくなかった。事情を説明すると罰金は減らされ、付き添われながらATMのある場所に行き、さらにタクシーが止まっている場所まで戻ったという。
サンフランシスコのFlywheel Taxiの運転手ヌル・タヒレ氏(58)は「タクシーに乗っていることを客に思い出させなければならないことが多く、運賃を払わず降りる客に関しては追いかける価値があるかどうか判断しなければならない」と話す。
数カ月前にも、無賃乗車をした看護師らしき女性客が病院に入っていくところを追いかけたところ、手ぶらで現金を持っていなかった。本人は当初、なぜ追いかけられたかすら分からなかったが、状況を理解した後は友人から金を借り、料金12ドルにチップを多めに加えた20ドルを払った。客の反応は、謝る、困惑する、驚くなどさまざまだが、こうした出来事はかなり頻繁になっているという。
■発車しないのはなぜ?
無賃乗車のほかにも、乗り込んでも行き先を告げず、聞かれるまでなぜ車が発進しないのか気づかない、ドライバーの個人用のボトル水を飲んでしまう(多くのウーバー車にはサービスでボトル水が用意されている)…といった問題がある。
さらに、駐車した自分の車に乗る時、ウーバーのつもりで車内をのぞき込み、ドライバーがいなかったためようやく自分が運転するのだと気づいたという人や、タクシーのドライバーに「何年くらいウーバーで働いているのか」と話しかけて気まずい雰囲気になったという人もいる。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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