鉄鋼業の衰退によって経済的打撃を受けたピッツバーグ市は、いまやロボットや先端製造技術産業の育成に力を入れ、かつての「鉄の町」から「ロボバーグ(Roboburgh)」(ロボットとピッツバーグという言葉を合体させて、ロボットの町という意味を持たせた造語)として再生している。
その象徴とも言える新興企業の一つが、人工知能(AI)の開発に取り組むアルゴAI(Argo AI)だ。
2016年創業のアルゴAIは、2017年にフォード(Ford)によって自動運転技術の開発提携先として選ばれた。フォードが5年間でアルゴAIに10億ドルを投資すると発表したことで、アルゴAIは一気に注目された。
フィナンシャル・タイムズ紙によると、アルゴAIは、カリフォルニア州とミシガン州、そしてニュージャージー州に研究拠点を持つが、従業員の40%はピッツバーグ本社に勤務する。
同社のブライアン・サレスキー共同創業者兼CEOは、ピッツバーグ大学を2002年に卒業後、同市のカーネギー・メロン大学ロボティクス研究所(Robotics Institute)勤務を経て、グーグル(Google)の自動運転車(AV=autonomous vehicle)開発計画(現在のウェイモ=Waymo)でAV開発に従事した。
カーネギー・メロン大学のロボティクス研究所は、マサチューセッツ工科大学とならぶほどの代表的な先進技術工学の研究機関だ。
もう一人の共同創業者であるピーター・ランダー氏は、ウーバー(Uber)でAV開発を率いた人物だ。ウーバーは、自動運転車サービスの試験を約2年前にピッツバーグ市で開始したあと、アリゾナ州の公道試験で死亡事故が起きたことを受け、AVの公道試験を中止したが、近い将来にピッツバーグ市で再開する計画だ。
サレスキーCEOによると、ペンシルベニア州南部には約80の高等教育機関(おもに大学と大学院のことを指す)がある。従来、それらの卒業生は、技術関係求人が多い米国西部、特にシリコン・バレーに移住することが一般的だった。しかし最近では、シリコン・バレーと同じような技術職があり生活費の安いピッツバーグ市での勤務を希望する人が増えている。
【https://www.ft.com/content/58b7cc34-72f1-11e8-bab2-43bd4ae655dd】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
ターゲットとショッピファイが提携 〜 ターゲットのオンラインいちばに中小の小売業者らが出店可能に
-
人工知能銘柄が今後10年の株式市場を動かす 〜 シスコの元CEOのベンチャー・キャピタリストが予想
-
2024年7月8日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
スマート包帯の研究&開発が前進 〜 傷口の状態を遠隔追跡、包帯から投薬や電気刺激を可能に
-
飲食店で印刷メニューが復活~QRコード不評で
-
2024年7月1日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ウェザーXM、ウェブ3とIoTで気象データに革新 〜 動く気象観測所群の分散型連携網を構築
-
米消費者のガソリン車好き続く~KPMGの意識調査
-
2024年6月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
対中EV貿易戦争、様々な副作用も
-
傷が早く治る、次世代ばんそうこう~医師との通信も可能に
-
生体認証決済が米国で拡大しつつある 〜 マスターカードやJPモルガンも導入へ
-
米国特許商標庁、出願者らの個人住所流出が再発 〜「不注意」が原因、影響を受けた人たちに通知