一生に一度は泊まりたい
アメリカのホテル7

旅にはさまざまな目的がある。大自然を体感する旅、歴史的建築物を訪ねる旅、または一流のエンターテインメントを満喫する旅。しかし、それ以外に、ホテルでの滞在が目的の旅というのも一興だ。ホテルそのものに語るべき物語があれば、そこで過ごす時間が最高の思い出を創り出してくれるはずだ。

Photo © Mohonk Mountain House

湖畔に佇む
重厚な古城風ホテル

Mohonk Mountain House
New Paltz, NY
www.mohonk.com

現在のモーホンク・マウンテン・ハウスはヨーロッパの湖畔に佇む古城のような趣だが、アルバート・スマイリーが周辺の280エーカーの土地と共に購入する前に建っていたのは、ほんの10室から成る宿屋だった。1869年、スマイリーは預金1万4000ドル、妻からの支援金300ドル、さらに銀行からの融資1万4000ドルで周辺の土地を購入。モーホンク・マウンテン・ハウスとして1870年にホテルを創業し、年月をかけて増築を重ねてきた。1893年に完成したダイニングルーム、1899年完成のラウンジも、1世紀以上の歴史と重厚さを感じさせる。

120年以上の歴史を感じさせるダイニングルーム
Photo © Mohonk Mountain House

現在も6代目に当たるスマイリー家の当主が所有し、経営する同ホテル。過去の宿泊者リストには、高名なナチュラリストのジョン・バローズ、ロックフェラー家の人々、アンドリュー・カーネギー、そしてラザフォード・ヘイズ、ウィリアム・タフト、セオドア・ルーズベルト、ビル・クリントンといったアメリカ合衆国大統領らVIPが名を連ねる。

山々を見渡せるスイートルーム
Photo © Mohonk Mountain House

創業者のスマイリーはクエーカー教徒だった。彼は戦争を回避するためにできることはないかと、モーホンク・マウンテン・ハウスを会場に、国際的な指導者たちを招聘して平和会議を開催した。スマイリーが主催した会議は、1899年と1907年にオランダで開かれたハーグ平和会議へと発展したことでも知られる。

冬でも利用できる屋内の温水プール
Photo © Mohonk Mountain House

1

2 3 4 5 6 7

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る