一生に一度は泊まりたい
アメリカのホテル7
- 2018年1月1日
- 2018年1月号掲載
旅にはさまざまな目的がある。大自然を体感する旅、歴史的建築物を訪ねる旅、または一流のエンターテインメントを満喫する旅。しかし、それ以外に、ホテルでの滞在が目的の旅というのも一興だ。ホテルそのものに語るべき物語があれば、そこで過ごす時間が最高の思い出を創り出してくれるはずだ。
湖畔に佇む
重厚な古城風ホテル
Mohonk Mountain House
New Paltz, NY
www.mohonk.com
現在のモーホンク・マウンテン・ハウスはヨーロッパの湖畔に佇む古城のような趣だが、アルバート・スマイリーが周辺の280エーカーの土地と共に購入する前に建っていたのは、ほんの10室から成る宿屋だった。1869年、スマイリーは預金1万4000ドル、妻からの支援金300ドル、さらに銀行からの融資1万4000ドルで周辺の土地を購入。モーホンク・マウンテン・ハウスとして1870年にホテルを創業し、年月をかけて増築を重ねてきた。1893年に完成したダイニングルーム、1899年完成のラウンジも、1世紀以上の歴史と重厚さを感じさせる。
現在も6代目に当たるスマイリー家の当主が所有し、経営する同ホテル。過去の宿泊者リストには、高名なナチュラリストのジョン・バローズ、ロックフェラー家の人々、アンドリュー・カーネギー、そしてラザフォード・ヘイズ、ウィリアム・タフト、セオドア・ルーズベルト、ビル・クリントンといったアメリカ合衆国大統領らVIPが名を連ねる。
創業者のスマイリーはクエーカー教徒だった。彼は戦争を回避するためにできることはないかと、モーホンク・マウンテン・ハウスを会場に、国際的な指導者たちを招聘して平和会議を開催した。スマイリーが主催した会議は、1899年と1907年にオランダで開かれたハーグ平和会議へと発展したことでも知られる。
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