メキシコEV市場、BYDなどの中国勢に勢い

メキシコの電気自動車(EV)市場では、比亜迪(BYD)をはじめとする中国メーカーの低価格モデルの人気が急速に高まっている。

◇都市部の中間層に人気

ブルームバーグによると、中国ブランドは、低価格、政府の補助、充電インフラの拡充などを追い風に、メキシコで新たな関税が導入された後も高い競争力を保っている。市場調査ブルームバーグ・ニューエナジーファイナンス(BNEF)によれば、BYDは2025年にメキシコでの販売台数がほぼ倍増し、EVおよびプラグインハイブリッド車(PHV)販売の約7割を占めるまでになった。

メキシコでは、電動車が新車販売の9%を占める成長分野になっているが、市場規模が小さいため多くの欧米や日系メーカーは本格参入を見送ってきた。所得水準が比較的低く、インフラや流通が未成熟な市場だが、中国メーカーはここに商機を見込んで積極展開しており、特に都市部の中間層がBYDなどの手頃な価格に強く引かれている。BYDで最も人気の高いモデル「ドルフィン・ミニ」の場合、半年ほど前に発売された最も近い競合モデルのシボレー「スパークEUV」より約2000ドルも安い。

◇関税効果は懐疑的

中国車の急速な流入に、メキシコ政府や既存メーカー、米国政府などは警戒感を抱いた。シェインバウム大統領は中国を含む自由貿易協定(FTA)非締結国からの一部輸入品に対する最大50%の関税導入を議会に提案、可決されて2026年1月に発効したが、関税の実効性には懐疑的な見方もある。

BYDは、コストが上昇しても吸収して値上げを回避し、追加関税の下でも競争力を維持すると考えられる。一部のアナリストも、関税がメキシコにおける根本的な需給構造を変える可能性は低いと見ている。メキシコ自動車ディーラー協会(AMDA)によれば、中国勢は内燃エンジンモデルの販売も拡大しており、25年は新車市場全体の20%を占めた。

競争力の源泉は、大量生産による低コスト体制や、中国政府の補助金、輸出促進政策などにあり、BYDは欧米や日本のメーカーよりはるかに手頃な価格を提示でき、価格に敏感なメキシコ市場で評価を高めている。

◇ローンや優遇策も貢献

加えて、低金利ローンや税制優遇措置なども中国車の販売を後押ししている。25年1~10月にメキシコで販売された中国車(EVおよび化石燃料車)のローン購入比率は約63%と高い。自動車ローン金利の市場平均は13~14%だが、BYDは銀行経由で低金利ローンを提供しており、年利7.9%という例もある。

また、メキシコ政府はEVやプラグイン車の購入時の税負担を軽減し、走行規制や排ガス検査でも優遇している。メキシコシティなどでは大気汚染がひどくなると車は日によって走行が制限されるが、EVやPHVは常に走行が認められる。さらにメキシコ政府は、充電インフラ整備にも補助を行って普及を支援している。

BYDは急速充電技術の導入も進めており、4月から提供するいわゆるフラッシュ充電では、5分の充電で400キロメートル(km)の航続距離を得られ、ガソリン給油並みの便利さになる。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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