サッチャー元英首相が死去 反共貫いた「鉄の女」

 【共同】1979年から90年まで英保守党政権を担い、強力な指導力と反共産主義の姿勢から「鉄の女」と評されたマーガレット・サッチャー元首相が8日午前に死去した。87歳だった。BBC放送などが報じた。元首相の関係者は「脳卒中を起こした後、安らかに死去した」と語った。

 不況とストライキの多発で「英国病」と呼ばれた経済低迷を金融分野の大胆な規制緩和や国有企業の民営化推進、緊縮財政の断行などで克服。競争原理に基づいた市場経済路線を定着させ、社会構造に大きな変革をもたらした。82年のフォークランド紛争では大艦隊を送り込み、アルゼンチン軍を撃破した。

■妥協嫌う信念の政治家 「紳士の国」を大改造

 「紳士の国」英国で初の女性首相となり、強烈な指導力で冷戦終盤の1980年代に活躍したサッチャー元首相が87年の生涯を閉じた。「鉄の女」の異名通り自分の信念を隠さず、一度決めたら妥協しない異例の政治家。「斜陽英国の再建」と「小さい政府」を目標に、国民に犠牲を強いながら英社会を大改造した。

 「信念の政治家」ぶりを示すエピソードは枚挙にいとまがない。「努力と実績が報われる社会」に向け、国家に依存する国民意識の変革を図る政治哲学は、サッチャリズム(サッチャー主義)という新語さえ生んだ。

 労働組合を目の敵にすると同時に、保守エリートの持つ「打算と和解」の政治とも反目。左右を問わず既存の支配層と闘う異端の人だった。

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