製造現場でも大規模データを活用 〜製品欠陥や工程問題の早期発見に
- 2013年5月17日
- ハイテク情報
大規模データ(Big Data)解析は、顧客や消費者の嗜好を理解するために使われることが多いが、製品製造現場で何百万という細かな工程を評価する手段としても活用されている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、軍需製品製造大手レイセオン(Raytheon)の新しいミサイル工場(アラバマ州)では、ネジを締める回転数が規定の13回より少ない12回だった場合、エラー表示が点灯して製造が中断される。
同システムは、製造工程に起因する不良品出荷を防止するとともに、部品の欠陥や各種問題を早期発見するのが目的だ。また、製造機械を操作した従業員の名前や、各工程時の湿度や気温も自動記録され、問題発生時の原因解明や、従業員の適切な配置に役立てられている。
そういったシステムは、製造工程で膨大な量のデータを集めて分析することで、問題回避や生産性向上のために活用されている。
そのために最新鋭の自動化システムを導入するメーカーは増加中で、大規模データ関連のソフトウェアの需要も強まっている。レイセオンはその一社で、製造実行システム(MES=manufacturing execution systems)を活用している。MESは、半導体をはじめハイテク企業を中心に80年代に導入が始まったソフトウェアだ。
製造業がデータを重視する背景には、顧客の不良品削減圧力や、株主によるコスト削減圧力が強くなっていることに加え、安全性問題に対処するために規制当局がデータ収集をこれまで以上に求めるようになってきたことがある。
コンピュータやスキャナーといったハードウェアの価格が大幅に低下し、データ保存や取り扱い技術も改善した。
さらに、最新の製造機械にはコンピュータ制御機能が実装されており、データ収集をはじめ、データの社内外共有が簡便化されたことも背景にある。
その結果、MES世界市場は成長しており、調査会社ガートナーは同市場について、2005年の10億ドルから現在では15億ドル規模に拡大したと見積もっている。
ソフトウェアやハードウェア、従業員訓練を含むMESシステムの費用は、1工場あたり50万〜100万ドルとみられる。
ハーレー・ダビッドソン(Harley-Davidson)は、塗装工程で使う送風機の速度をはじめ、気温や湿度といった製造現場の詳細をソフトウェアで記録し、異常が検出されると機械を自動調整するシステムを導入している。同社はまた、製造遅れの要因となっている工程の特定と改善にもデータ分析ソフトウェアを活用している。
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