自動車2社救済は有益だった〜業界シンクタンク

 財務省が9日、巨額の公的資金で救済したゼネラル・モーターズ(GM)の株式売却を完了したのに合わせ、業界シンクタンクの自動車研究所(CAR)は、今も国民の批判が残るGMとクライスラーの政府救済を肯定的に評価する報告書を発表した。

 ロサンゼルス・タイムズによると、CARは2009年に経営破綻したGMとクライスラーの救済で、政府の損失が総額で約137億ドルに上ると分析した。その一方で、公的資金が投入されたことで「失業保険や社会保障の給付で1053億ドルの損失が生じたり、個人・社会保険税の徴収が不能になったりする事態が避けられた」と評価した。それらの損失総額は純投資額の768%に当たるという。

 CARはさらに、2社の救済と経営再建を通じて、09年の雇用約260万人分と、同年と10年の個人所得計2844億ドルが失われずに済んだと分析した。

 一方で、救済の効果の算定は難しいという見方もある。保守派の自由至上主義(リバタリアン)的傾向が強いケイトー研究所のダン・ミッチェル上級フェローはCAR報告書について、救済がなかった場合に業界が強いられたはずのアジャストメント(調整)を重視していないと指摘した。「労働コストや就業規則で意義深い妥協が行われ、そうした調整によって業界の地盤はもっと健全になっていたはずだ」と、ミッチェル氏は話した。

 財務省発表によると、GM救済では公的資金が総額約495億ドル投入され、株式低迷で回収額が約390億ドルにとどまった結果、損失は約105億ドルに上った。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る