Pick up(ピックアップ)の使い方が違う?
- 2021年8月9日
「何かを選び出す」という意味でみなさんが普段よく使っている日本語の「ピックアップ」は、実は和製英語だということをご存知でしたか?Pick upという言葉自体は英語でも使われていますが、日本語の意味とは異なる意味で使われています。今日のコラムでは、Pick upの正しい意味と使い方をご説明します。
「~を選び出す」はpick upではなくpick out
何かを選び出すことを日本語では「ピックアップ」と表現しますが、英語で「~を選び出す」と言う場合、正しくは“pick out”になります。基本的には複数の中から1つだけを選ぶ意味で使われますが、2つ以上を選ぶ時に使うことも出来ます。例えば、数種類の色違いのシャツの中から「好きなシャツを(1枚だけ)選んで」と言う場合は「Pick out a shirt that you like.」、「最も好きなシャツを2枚選んで」は「Pick out your two favorite shirts」、「シャツを数枚選んで」は「Pick out a few shirts.」のように表現します。
(好きなデザインをいくつか選びました。)
・Can you help me pick out a souvenir?
(お土産を選ぶのを手伝ってくれない?)
・Go ahead and pick out a wine that you like.
(どうぞ自由に好きなワインを選んでください。)
Pick upの正しい使い方
pick upは本来は何かを持ち上げたり、拾ったりすることを意味しますが、日常会話では状況により様々な意味を持ちます。ここでは6つの使い方をご紹介します。
1) 「拾う・片づける」
1つ目は床や地面に落ちているものを拾ったり、散らかっているものを片付ける意味として使われます。ここでは、pick upを2語に分けて「pick + 物 + up」の形式で使ってもOKです。
(ゴミを拾って。)
・Pick up your toys! / Pick your toys up!
(おもちゃを片付けなさい。)
2) 「迎えに行く・受け取りに行く」
2つ目は、「人を拾う」、要するに誰かを迎えに行くことを意味します。友達に「迎えに来てくれる?」と聞く場合は「Can you pick me up?」、「5時に迎えに行くね」は「I’ll pick you up at 5.」と表現します。ここでは、「Can you pick up me?」や「I’ll pick up you.」のように使うことはできないので、必ず「pick + 代名詞 + up」の形式が使われます。
その他、預けていたものを受け取りに行く時にもpick upが使われます。この場合は、pick upを2語に分けて使うことができます。
(クリーニング屋に出した洋服を取りに行ってくるね。)
・Can you pick up the cake? / Can you pick the cake up?
(ケーキを取りに行ってくれる?)
3) 「買う・おごる」
3つ目は「〜を買う」を意味し、日常会話では buy の代わりに使われる口語的な言い方です。ここでも、pick upを2語に分けて使うことができます。
(コンビニでお菓子を買いました。)
・Can you stop by Starbucks and pick up some coffee? / Can you stop by Starbucks and pick some coffee up?
(スタバに寄ってコーヒーを買ってきてくれない?)
ちなみに、pick upは「おごるよ」の意味で使うこともできます。友達に「今夜は私がおごるよ」と言う場合は、 「I’ll pick up the tab tonight.」もしくは「I’ll pick up the bill tonight.」と言います。tabとbillはお勘定を意味し、どちらを使ってもOKです。また、ここでもpick upを2語に分けて使うことができるので、「I’ll pick the tab/bill up tonight.」 と表現してもOKです。
4) 「電話に出る」
4つ目の意味は「電話に出る」です。昔は受話器を取って電話に出ていたことから、pick upが使われるようになりました。正式にはpick up the phoneですが、日常会話ではシンプルにpick upで表現します。
(彼女は電話に出ましたか?)
・She didn’t pick up. It went straight to her voicemail.
(電話には出ませんでした。すぐ留守電になりました。)
5) 「習得する」
5つ目の意味は「言語や技術/技能を習得する」です。ここで使われるpick upはlearnと似たような意味を持ちますが、猛烈に勉強をしたり、練習をして技術を習得をしたのではなく、「気づいたら言語や技術が身についていた」といったニュアンスになります。ここでも、pick upを2語に分けて使うことができますが、pick it upのように代名詞を使う場合はpick up itのように表現することはできないので、気を付けましょう。
(映画を見て英語を身につけました。)
・She’s really good at snowboarding. She picked it up right away.
(彼女はスノボーが上手です。すぐに覚えました。)
・I picked up some* French while I was in Paris. / I picked some* French up while I was in Paris.
(パリにいる間、フランス語をちょっと身につけました。)
*ここで使われている“some”は「ちょっと」や「少し」という意味になります。
6) 「再開する」
6つ目の意味は「再開する」です。「再開する」の意味で使う場合は“pick up where we left off”のセットフレーズとして使われ、「前回終わったところから、中断したところから始めましょう」といった意味合いになります。
(中断したところから始めましょう。)
・It’s getting late. We can pick up where we left off tomorrow.
(遅くなってきたので、明日この続きをしましょう。)
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