EV電池の耐久性は予想以上~9万キロを境に劣化が加速

EVに搭載される電池は、大部分が従来の想定よりはるかに耐久性が高いが、走行距離が10万キロメートルに近づくと劣化が急速に加速することが、ドイツの第三者評価機関テュフ・ノルド(TUV Nord)と自動車技術企業カーリー(Carly)による最新の分析で明らかになった。

◇新しいモデルほど良好

エレクトライブによると、両者が2016~26年に製造されたEVおよびプラグインHV約5万台の駆動用電池の健康状態(SoH=新品の充電容量を100%とした場合の現在の容量)を調べたところ、中央値は96%だった。これは単純平均ではなく、全体の半数がこの値を上回り、残り半数が下回ったことを意味する。

概して新しい車両ほど電池は「健康的」だったが、ブランドによる差も見られた。例えば現代や起亜、メルセデス・ベンツは旧モデルでも90~95%以上を維持する例が多かったが、VWやルノー、シトロエンでは70~80%にとどまる例もあった。車両年式に応じてブランド間で約2~10ポイントの差が生じたが、新しいモデルほどこの差は大幅に縮小した。

◇走行距離だけが影響か

電池の劣化(蓄電容量の低下)と走行距離の関係では、走行距離約9万キロを境に劣化が急激に進む点が注目される。9万キロまでは、容量は1万キロ当たり平均0.7ポイントの低下にとどまるが、9万キロを超えるとこの値は2.3ポイントと大幅に増えた。

なお、走行距離と車齢のどちらが劣化により大きく影響するかは明確になっておらず、ブランド、年式、走行距離以外でSoHに影響を与える可能性のある他の要因にも調査は触れていない。カナダの車載テレマティクス大手ジオタブ(Geotab)は最近、交流(AC)充電ではなく直流(DC)の超急速充電を頻繁に行うと劣化がわずかに加速するという調査結果を発表しており、ほかに電池の熱管理や周囲の温度もSoHに影響すると考えられる。さらに、気温が高い地域では低い地域よりも電池の劣化がやや速く、個々のドライバーの運転行動が劣化に影響を与える可能性もある。

◇中古車市場の重要な指標に

今回の分析で重要なのは、EV電池は従来の予想より長寿命であり、ほとんどの新車はメーカー保証(8年または16万キロで容量70%)を上回る性能を示したという点だ。こうしたSoHデータは、中古EV市場における査定や購入判断の重要な指標になり、透明性と信頼性の向上につながるとみられる。

カーリーとテュフ・ノルドは、2025年12月から共同で、欧州の中古車販売業界団体「CARA」が認定する車両向けに標準化された電池評価方法を提供し、EVおよびPHVの電池の健康状態が分かるようにしている。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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