農業地帯に肥料が届かない〜石油増産や厳冬で鉄道車両が不足

 この冬の寒波やシェール革命による石油増産の影響で農業用肥料を運ぶ鉄道貨車が不足しており、中西部農家は不安を募らせている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、車両不足は積み出しを待つ肥料の山を増やすと同時に、南北ダコタやミネソタ、ウィスコンシンといった中西部北部の農家に「トウモロコシや小麦、大麦をまいても十分な栄養を与えられないのではないか」という恐怖を与えている。

 農家は一方、ここ数カ月は昨年収穫した作物を鉄道で加工施設に送ることにも苦労しており、この分だと今秋の収穫後も保管スペースの心配をしなければならなくなる。

 肥料運搬の遅れは、モザイク(Mosaic、ミネソタ州)やアグリウム(Agrium、カナダ)をはじめとする肥料メーカーの収益を脅かしているだけでなく、穀物の安定供給を望む加工業者も不安に陥れている。植物由来の燃料を生産するエタノール工場も、出荷ができないためすでに数社が操業を一時停止している。

 モザイクのジム・プロコパンコ最高経営責任者(CEO)によると、今春の肥料の出荷遅れは「前代未聞のひどさ」。同社は通常、四半期に約500万トンの肥料を出荷する。1〜3月期決算はこの影響で利益が43%落ち込んだ。

 鉄道網はまず、近年まれにみるこの冬の寒さと雪で行き詰った。BNSFやカナディアン・パシフィックなどの各社は運行する貨物列車を短くしなければならず、これで中西部の鉄道が混雑した。

 このほか、増産ブームに沸くノースダコタ州のバッケン・シェールの原油出荷量が急増したことや、景気回復による商品の運搬量が増えたことで鉄道業界の競争が激化しているのも大きな要因だ。

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