事業の再編を強化〜ビステオンとクーパー

 クーパースタンダード・オートモーティブは、ビステオンのHALLAビステオン空調(HVCC)に、加熱と排気の事業部門を4600万ドルで売却することを明らかにした。これにより、HVCCは排気再循環(EGRs)や電子冷却ポンプとバルブ、電子ウェストゲート・アクチュエータ、電子スロットルボディなどの、燃費効率を向上し、排気を軽減する車両向け製品を手中に収めることになる。

 HVCCは南北アメリカとヨーロッパ、アジアに35カ所の工場を所有している。顧客は、GM、フォード、クライスラー、テスラ、ホンダ、日産、ボルボ、VW、BMWやメルセデスベンツなど。

 今回の買収はクーパーを競合から排除し、調査と技術生産事業部門を強化することにもつながる。

 同時にビステオンは、ジョンソンコントールズの車両用エレクトロニクス事業の買収も完了させた。同事業の取引額は2億6500万ドル、およそ5000人の従業員を擁している。買収は、生産や技術の能力、製造ライン、顧客ベースを拡大することで、30億ドル規模のコックピットエレクトロニクス市場におけるビステオンのプレゼンスを高める。「車両の加熱マネージメントシステムと並んで、当社の二大高成長事業であるコックピットエレクトロニクスの地歩を固めるのに役立つ」と、ビステオンのティモシー・ルリエットCEOはコメントしている。

 同事業により、ビステオンは、ドライバーのためのインフォメーション、インフォテインメント、ボディエレクトロニクス製品などを供給していく。同事業は2013年9月に終了した会計年度で13億ドルの収入を生み出した。ビステオンのエレクトロニクス事業は、世界に24の製造施設、8のテクニカルセンターを所有し、1万500人の従業員を雇用している。ビステオンはこれまでエレクトロニクスと空調ビジネスに力を入れてきた。今年5月、同社は業績が低迷しているインテリア事業から撤退し、6月には、子会社のHVCCが日本クライメイトシステムズ・ナンジンの経営権を獲得するなど、着々と事業の再編、強化を進めている。

 一方、クーパーも、燃料タンク、ブレーキとパワートレーンのコンポーネントをはじめとする生産ラインを保持するITオートモーティブと合併することを検討中だ。クーパーのジェフリー・エドワーズCEOは「加熱と排気の事業部門から撤退することは戦略的な決断であり、今後は、トリムとシーリング、燃料とブレーキの転送、流体移送、防振システムの4つの主要な事業にフォーカスを当てていく」と述べた。

 クーパースタンダード・オートモーティブの親会社で、ノバイに拠点を置くクーパースタンダード・ホールディングスは、2013年度、30億9000万ドル相当の売り上げを計上した。一方、デトロイト郊外に本社があるビステオンは、2013年は74億4000万ドルの売り上げだった。

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