サプライヤー同盟への取り組み

 2008年以降、自動車メーカーへの伝統的な供給モデルは根本的に変わった。自動車メーカーのための調査と開発の仕事はサプライヤーに移り、サプライヤーは、製造過程と好適な素材、また大量生産もしくは特別仕様のツールを使うことでの改良法を提示するようになった。サプライヤーは、現在も、必要な調査と開発に以前以上に取り組むようになっている。これにより、比較的価格交渉において優位に立てるようになっている。今やサプライヤーは、OEM企業が求める自動車への技術の進化と価値の創出を提供できる存在に成長した。サプライヤー数社でリソースを出し合うことで、製造能力と世界的な売上げの可能性は広げられる。

 これは自動車業界における新しい概念だ。共同購買は自動車業界の供給網内では既に実施されている。コンチネンタルとシェフラーは、2013年200億ドル分の共同購買により、コスト削減とサプライヤー間同士の密接な協力関係の推進に成功した。

 マグナの最大の事業分野は外装と内装システムで、この(提携)アイデアによって多くの利益が得られる分野である。内装分野は、販売が落ち込んでおり、サプライヤーはさまざまな策を練っている。マグナは2013年の北米総売上げの半分以上を使って、他地域の成長機会を模索中である。原料調達や製造設備の共有によって、コスト削減や現地化で他社と差別化を図る道が考えられる。

 しかし、この手法も他の領域では不確かだ。サプライヤーは、自社のOEM企業の顧客向けに新たな優位性を提供できる提案を試したいと思っているだろうが、知的財産のような繊細な情報を共有することに関しては積極的ではないはずだ。この場合は短期では完了せず、東洋と西洋のサプライヤー間の文化的ギャップを埋める必要があるものであり、数世代にわたって努力を積み重ねなければならない。しかし、自動車業界の構造が変われば、そのようなアイデアが実現に移せる日もやがて来るかもしれない。

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