任天堂、DeNAとの提携にかける 〜 モバイル・ゲーム市場進出で再生を狙う
- 2015年3月24日
- ハイテク情報
任天堂の岩田聡社長がスマートフォン向けのゲームを開発するために総額60億ドルという巨額を投資する方針を示したことは、同社株価が36%上昇したことで、好観視されていることがうかがえる。しかし、業界専門家の一部には、同戦略が株式市場で過大評価されているという見方もある。
ブルームバーグによると、任天堂は、これまで商敵だったソーシャル・ネットワーク・ゲーム開発大手DeNAと提携したことで、モバイル・ゲーム市場に参入することに踏み切った。
任天堂はそれによって、同社のゲーム・キャラクター群をDeNAとのモバイル・ゲーム開発に転用し、新たなゲーム・ソフトウェアや会員サービスを開発する計画だ。同社は、ウィー・ユー(Wii U)や3DSからモバイル仕様に移植するのではなく、スマートフォン環境に完全対応するよう設計し直す方針だ。
任天堂とDeNAはまた、各種のゲームをアップル(Apple)のアイフォーン(iPhone)とサムスン(Samsung)のギャラクシー(Galaxy)向けに配信する方針だ。新たなゲームは2015年秋にも発売される見通し。
任天堂は、消費者の嗜好がスマートフォン基盤のゲームに移行したにもかかわらず、ゲーム専用機事業に固執したため大きな損失を強いられた。遅きに失したとは言え、任天堂は今回、DeNAとの提携に踏み込むという軌道修正によって、モバイル・ゲーム市場にようやく進出する。
ただ、モバイル・ゲーム市場では、欧州と米国の強豪ゲーム・メーカーたちが数々のヒット作を相次いで出しており、過剰競争の状態にある。しかも、利益を出しているゲームは上位の一部に限られている。
それらの主要作品群には、「クラッシュ・オブ・クラン」や「キャンディ・クラッシュ」「パズル&ドラゴン」があり、それらのゲームに挑むことになる。
SMBC日興証券のゲーム業界専門家によると、任天堂の新戦略が成功した暁には、2017年度(3月締め)に4億9800万ドルの営業利益がもたらされる可能性がある。
任天堂は2015年1月に、同社の携帯ゲーム機「3DS」の年間売り上げ目標を25%引き下げ、900万台に下方修正した。ウィー・ユーについては360万台に設定されている。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年7月16日 アメリカ発ニュース
米技術業界重鎮ら、トランプ氏の激励をあいついで表明 〜 暗殺未遂速報を受けて続々と投稿
-
ターゲットとショッピファイが提携 〜 ターゲットのオンラインいちばに中小の小売業者らが出店可能に
-
人工知能銘柄が今後10年の株式市場を動かす 〜 シスコの元CEOのベンチャー・キャピタリストが予想
-
2024年7月8日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
スマート包帯の研究&開発が前進 〜 傷口の状態を遠隔追跡、包帯から投薬や電気刺激を可能に
-
飲食店で印刷メニューが復活~QRコード不評で
-
2024年7月1日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ウェザーXM、ウェブ3とIoTで気象データに革新 〜 動く気象観測所群の分散型連携網を構築
-
米消費者のガソリン車好き続く~KPMGの意識調査
-
2024年6月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
対中EV貿易戦争、様々な副作用も
-
傷が早く治る、次世代ばんそうこう~医師との通信も可能に
-
生体認証決済が米国で拡大しつつある 〜 マスターカードやJPモルガンも導入へ