カーギル、4000人を削減か〜穀物市場の低迷で
- 2015年11月17日
- 米国ビジネス
農業の不振を受け、大手穀物商社カーギル(Cargill、ミネソタ州)が人員削減や事務所閉鎖を含む大規模な事業再編を進めている。
ロイター通信が複数の関係者の話として伝えたところによると、同社は穀物価格の低迷、中国の需要減速、多額を投資した新興市場の伸び悩みなどを受けて苦戦しており、社員全体の約2.5%に相当する4000人を削減する可能性があるという。
カーギルは、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM、イリノイ州)、蘭ブンゲ、仏ルイ・ドレフュスとともに「ABCD」と呼ばれる4大穀物商社の1つとして世界の穀物市場に影響を及ぼしている。しかし最近はアジアの新興商社の台頭などによる逆風を受けており、カーギルと関わりのある米穀物トレーダーの1人は「少し身軽になってより速く動けるよう調整を図っているように見える」と話す。
2年前に就任したデイビッド・マクレナン最高経営責任者(CEO)は、すでにさまざまな改革に着手しており、過去6カ月間に米国の豚肉加工事業をブラジルの精肉大手JBSに14億5000万ドルで売却、ノルウェーの養殖魚飼料大手イーウォス(EWOS)を約15億ドルで買収したほか、ヘッジファンド部門ブラック・リバー・アセット・マネジメントを社員が所有する3つの企業に分割する計画を発表した。
同社が大規模な再編を実施するのは約15年ぶりで、前回は場所ではなく商品ラインに基づく社員の配置換えが目的だった。27年勤めた後、2003年に退社した元社員によると、カーギルが人員を削減することはめったにないという。
業界では他社も経費節約を図って縮小や統合を進めており、先月は種子最大手モンサント(Monsanto、ミズーリ州)が2600人の削減および事業再編を発表したほか、農機大手ディア(Deere、イリノイ州)も人員を削減している。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
米技術大手ら、メキシコでの製造拡大に注力 〜 台湾の技術製品メーカーらに熱心に働きかけ
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
米国内都市圏の住宅所有者らは自然災害に要注意〜異常気象による損害危険の高い地域が明確に
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ドライバーの過半数が「AVは怖い」~AAA調査
-
2024年5月13日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EVへの関心、ますます低下~消費者、メーカーの思惑に反し
-
インフルエンサーとブランドをつなぐプラットフォームで台頭 〜 ショップマイ、1850万ドルを調達
-
シンケイ・システムス、魚の活け締め技法を機械化 〜 完成に接近、鮮魚流通網に革新をもたらす可能性
-
ドキュサイン、インテリジェント契約管理サービスを発表 〜 電子署名ソリューション以外に事業を拡大
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開