全米でベーコンの需要が高まり、材料の豚バラ肉(pork belly)価格が2017年に入って80%近く上昇している。業務用の冷凍在庫は過去60年で最低の水準に落ち込んでいる。
ウォールストリート・ジャーナルによると、ニールセンのデータでは、消費者の16年のベーコン購入量はに13年比で約14%増加した。かつてはポークチョップやテンダーロインといった部位よりも不健康な副産物と見られたこともあるベーコンだが、近年は全般に脂肪分の多い肉が受け入れられる中で「後ろめたい楽しみ」を与えてくれる食品の1つになり、この10年はBLTサンドや朝食メニュー以外にも広く使われるようになった。
17年は特にそれが加速しており、ファストフード店アービーズは6月、一連の「肉厚3倍(triple thick)ベーコン・サンドイッチ」を発売。ニューヨーク・ブルックリンのランドハウス(Landhaus)はメイプルベーコンの串焼きを出しており、全米でベーコンがテーマの夏祭りも開かれている。
一般的に牛肉やベーコンの需要は、5月末のメモリアル・デイや7月4日の独立記念日を前に上昇する。17年も牛肉の卸価格は例年通りの変動を見せ、6月半ばに最高値をつけた後は低下に転じた。しかし、ベーコンは年間通じた常備食品となっており、高まり続ける需要が卸業者を圧迫している。
アーチャー・フィナンシャル・サービシズのコモディティ・ブローカーによると、小売店は生産増と価格の低下を待って必要な量だけ購入しているという。養豚業者は需要に対応するのに苦慮しており、農務省によると、全米の豚の数は6月初めに前年同期比3%増の7170万頭とこの季節では過去最高を記録したが、それでもベーコン需要は満たせていない。5月は豚バラ肉の商業用冷凍在庫は前年同月比59%減の3160万ポンドまで落ち込み、農務省が1950年代に記録を取り始めて以来の低水準となった。
これに伴い、豚バラ肉の卸価格は7月第2週にポンド=2.10ドルまで上昇した。これは農務省が13年に市場の定期調査を始めて以来の高値で、アナリストによると、それ以前に自主報告されていた数字と比べても最高記録だという。
一部の小売店やレストランは通常、高値の時はベーコンをより薄く切る、ソーセージなどの代用品を売り込むといった形で対応している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか
-
2024年4月15日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV生産コスト、27年にはガソリン車より安く~ガートナーが予想
-
人間の労働力の方が人工知能より安価 〜 MITの研究、雇用機会の大部分は人工知能にまだ奪われないと結論
-
ドローン配送に現実味~運用範囲広がる
-
アマゾンや小売大手ら、頻発する返金詐欺で巨額の損害 〜 詐欺集団ら、ティックトックで協力購入者たちを募集