ニューヨーク、サンフランシスコ、オレゴンなどの都市部を中心に国内ではこの5年でコーヒーショップが急増し、多くなりすぎて各店のもうけが薄くなって いる。
■客足が鈍化
ウォールストリート・ジャーナルによると、市場調査ミンテルのデータでは、米国には2017年現在3万3000件近くのコーヒーショップがあり、5年前から16%も増えた。近年はマクドナルドからガソリンスタンドまでさまざまな場所で特製コーヒーが提供され、スーパーマーケットもボトルや缶入りコーヒーの売り場を広げている。
安い選択肢が増えれば、消費者が従来のカフェに行く頻度は減る。NPDグループによると、スターバックスのような大手では利用者の増加ペースが落ち、小さなチェーンや個人経営店では客足が鈍っている。カフェ業界が直面する問題は、新しい食べ物の増加と競争する食品小売り、レストラン業界と似ている。さらにモールに行く人が減ったことや、在宅勤務の増加、オフィス勤務時間の増加なども、コーヒーショップ利用者の減少につながっている。
■数年後にはなくなる店も
NPDのアナリストは「これ以上コーヒーショップが増える余地はない」と見ており、ピーツ・コーヒーのデイブ・バーウィックCEOは「数年後には姿を消す店もあるだろう」と予想する。
ダンキン・ドーナツは最近、多忙な客向けに店の造りを調整するため、新店舗の開店数を減らすと発表した。国内コーヒーショップの約42%を占めるスターバックスは、開店ペースこそ落としていないが、厳しい環境を認識して長期的な売 り上げや利益増加率の予想を下方修正している。
ミンテルによると、17年のカフェ増加率は前年比2%と6年ぶりの低水準になる 見通しで、伸びは今後さらに弱まる見込み。小さな店は大手に飲み込まれ始めて おり、今後は業界統合が加速すると見られる。ピーツ・コーヒーなどを所有する欧州のJABホールディングは、近年積極的に米企業を買収しており、スイスのネスレも9月にブルー・ボトル・コーヒーの過半数株式を取得した。
■零細店は淘汰へ
市場の混雑で最も打撃を受けているのは、かつて収益性の高さに引かれて開店した小さなカフェのオーナーたちだ。多くは経費、不動産、人件費の高騰で経営が苦しくなり、閉店を決断し始めている。大手チェーンは、資金力があり、最新 のモバイル・アプリ、ドライブスルー、ボトル入りコーヒーの発売などでますます便利さを求める消費者にも対応しやすいが、ダンキン・ブランズ・グループのナイジェル・トラビスCEOは「小さなチェーンは淘汰される」と予想している。一方、スターバックスやダンキンはより高価な特製メニューが買える富裕層への訴えかけを強めており、NPDによるとコーヒーやスペシャル・コーヒーの価格は過去5年間に2桁のペースで上昇している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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