フェデックス、バークシャー・グレイと複数年契約 〜 配送センター業務の自動化ロボットを試験運用へ

テッククランチ誌によると、物流および配送サービス大手のフェデックスは、配送センター業務の自動化を自社だけで進めるのではなく、他社との提携によってさらに加速させる方針を打ち出し、その一環として、バークシャー・グレイと複数年の非独占契約を結んだ。

▽共同開発したロボット「スクープ」を導入

フェデックス(FedEx)は、配送センター作業の自動化に向けて、これまで内製と外注の両方を試していたが、ソフトバンクに買収された人工知能ロボティクス会社のバークシャー・グレイ(Berkshire Grey、マサチューセッツ州ベッドフォード拠点)と提携した。

フェデックスはそれにともなって、バークシャー・グレイの倉庫業務用ロボット群を複数の配送センターに配備し、それらの試験運用を2026年中に開始する計画を進めている。

両社はこれまでに、大きな荷物や複数の小包みを一つにまとめた大きなかたまりをトラックから上げ下ろしするロボット「スクープ(Scoop)」を共同開発した。フェデックスが試験運用するのはそのスクープだ。

▽荷物の上げ下ろし作業が焦点

フェデックスの先進技術&革新責任者ステファニー・クック氏によると、大きな荷物の上げ下ろしは配送センターの業務のなかで物理的な要求度がもっとも高く、予想不可能なことが起こりやすい。その作業を自動化する試みは今回が初めてではなく、適切なロボットをこれまで見つけられずにきた、と同氏は説明している。

「既製品のロボットで当社のニーズを満たせるものは存在しない。当社はバークシャー・グレイと協力してきた結果として、両社の協業がわれわれの目的と合致すると感じた」とクック氏は話した。

▽専門会社との提携によって「迅速に前進」

フェデックスはそれと同時に、難易度の低い自動化システムについては自前で取り組んでいる。おもな事例としては、荷物の追跡を支援する検知システム「フェデックス・センスアウェア(FedEx SenseAware)」と「センスアウェアID(SenseAware ID)」が挙げられる。

検知システムを開発するのとロボットを開発するのでは技術的な要求度が異なる、と先進技術&革新担当副社長のOP・スカークスルッド氏は指摘する。「ロボット開発となると、専門会社と提携したほうがはるかに迅速に前進できる」と同氏は話した。

フェデックスは、バークシャー・グレイ以外にも、デクスターリティ(Dexterity)やニンブル(Nimble)といったロボティクス会社と提携している。両社とも配送センター作業を自動化するロボットを開発する新興大手だ。

▽自動運転トラックによる配送自動化

配達業務もフェデックスが自動化を目指している領域だ。

同社は2021年に、自動運転トラック開発大手オーロラ・イノヴェーション(Aurora Innovation)と試験運用契約を結んだ。あらかじめ決められた配送経路を自動走行するという運用方法でテキサス州で導入したのち、両社は提携関係を2022年に拡大し、これまでに3200件以上の自律走行を完了した。

フェデックスはさらに、配達ロボットを開発するニューロ(Nuro)とも2021年に提携した。いわゆる「最後の1マイル」と呼ばれる配達を自動化するロボットの活用だ。

ただ、ニューロは2025年に事業の方向性を変更し、ロボットを自社製造するのではなく、技術をライセンス提供していく事業モデルに転換したため、フェデックスとの協力関係は解消されだ。

▽「最後の1マイル」自動化も視野に

最後の1マイルの配達に関しては、フェデックスは配達ロボット「セイムデイ・ボット(SameDay Bot)」を2019年に自社開発して導入したことがある。しかし、好評を得られず、ニューヨーク市では禁止されたこともあった。

セイムデイ・ボットの試みは打ち切られたが、最後の1マイルをいかに自動化するかについてはなおも追求している、とフェデックスは説明している。

▽配送網と運営ノウハウを強みに

フェデックスは、物流サービス業界の自動化に向けて先走りすぎないようにすることも重要だと考えている。

「技術ばかりに注目しすぎてはいけない。そうすれば失敗するだろう」とスカークスルッド氏は言う。「これは立体的なチェス・ゲームのようなものだ」「地道なことも含めてすべての構成要素の問題を解決することが全体的な正解につながる」「単に興味深い技術を持つことではなく、興味深く生産性の高い技術を持つ必要がある」。

同社はまた、多数の会社らと提携することでバラバラの専有技術を多数持つことを懸念していない。トラックと同じでそれらはハードウェアにすぎない。その背後にある配送網とその運営ノウハウこそがフェデックスの強みだ、とスカークスルッド氏は述べた。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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