グローバルファウンドリーズ、生産能力を増強 〜低価格スマートフォン向けが好調

 売上高世界第2位の半導体受託製造大手グローバルファウンドリーズ(Globalfoundries)は、低価格スマートフォン向け半導体の需要急増を見込み、2013年中に45億ドルを投資して製造能力を拡張する。同社のアジット・マノチャ最高経営責任者(CEO)がウォール・ストリート・ジャーナル紙の取材に対し明らかにした。

 同社は当面、既存工場の生産能力拡大に注力する方針で、既発表のアブダビ工場新設計画については、着工時期を「市場環境と需要次第」と述べるにとどまり、スマートフォン向け以外の半導体需要が引き続き軟調であることを示唆した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、グローバルファウンドリーズは、2013年の新規設備投資予算をニューヨークおよびドイツの既存工場の生産能力拡大にあてる。

 ニューヨーク工場については、向こう18ヵ月で生産能力を倍増し、月産6万ウエハー体制とする計画だ。

 マノチャCEOは、同社の製造技術に対する顧客企業からの評価が上がっていることを挙げ、「2014〜2015年には、設備投資額を2013年よりも格段に増やす」と述べた。

 2012年の設備投資額は38億ドルだった。

 マノチャ氏はまた、中国と米国のスマートフォンおよびタブレット市場の好調を背景に、それら製品向け半導体需要が伸びていることから、2013年の同社売上高は2桁台成長が可能という予測を示した。

 同社は業績を公表していないが、調査会社ガートナーは2012年における同社の売上高について、前年の35億8000万ドルから17%増の42億ドルに達したと推定している。

 マンチャ氏は、「中国やそのほかの新興市場において低価格スマートフォンが確実に売れており、グローバルファウンドリーズも中国で市場占有率を伸ばしている」と述べた。

 同氏はまた、中国のモバイル半導体設計会社である福州ロックチップ・エレクトロニクス(Fuzhou Rockchip Electronics)と提携し、28ナノメートル半導体加工技術を使ってタブレット用半導体を製造することを明らかにした。

 今後は、強い需要のある先端製造技術に投資する考えで、2013年後半には20ナノメートル技術を、2015年初期にはトライ・ゲート14ナノメートル技術を使った半導体の大量生産を開始する。

 調査会社IDCは半導体業界売上高について、2012年の前年比2.2%減の2950億ドルから、2013年は3.5%増に回復すると予測。現在および今後の成長けん引力として、スマートフォン、タブレット、セット・トッブ・ボックス、そして自動車用電子機器向け半導体をIDCは挙げている。

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