裁判所が命じても賃金払われず〜加州の低賃金労働者

 法律に違反した劣悪な労働環境で働くカリフォルニア州の低賃金労働者は、雇用主に待遇改善や罰金を命じる裁判所命令が出た後も、大部分は未払い賃金や罰金の支払いを受けていないことが調査で判明した。

 ロサンゼルス・タイムズによると、サンディエゴ市内のオフィスビルで長年清掃員として働いたアニータ・エレーラ氏は、7時間の勤務中に法で義務付けられている食事と休息の時間を与えられたことが一度もなかった。意を決して休憩時間を要求すると雇用主はその分を勤務時間から削ったため、氏は2009年、州労働基準監督署に苦情を訴えた。当局は事実を確認し、雇用主にエレーラ氏への罰金2万ドルの支払いを命じる裁判所命令を取り付けた。

 ところが、今もエレーラ氏には1セントも支払われていない。雇用主は清掃会社の所在地や社名を変え、事業免許を取り直して業務を続けているという。エレーラ氏はスペイン語で「金をだまし取られた気持ちでいっぱいです」と語った。氏と同じような被害者は州内で数千人に上り、多くは移民労働者だ。

 低賃金労働者の擁護団体である全国雇用法プロジェクト(NELP)と、カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)労働研究教育センターの調査によると、08年から11年の間に出された未払い賃金と罰金支払いの裁判所命令のうち、雇用主が実際に払った例はわずか17%だった。金額で見ると、総額3億9000万ドルの支払い命令に対し、支払われた額は42%の1億6500万ドルだった。
 一方、裁判所が賃金未払いを確認した雇用主の5分の3は、合法的に廃業して姿をくらましているという。

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